2002/04/15(月) ビール瓶。

台所の床に溜まった空のビール瓶を見ていたら首を掴んで流しの角にぶつけて割りたくなった。男と言い争いをしながら。やばい。今日はこれ以上飲むのをやめよう。

話し合いにならない単なる言葉のぶつけ合い。痴話喧嘩ですらない、そんな温度はない、頭は冷静に醒めている。醒めているんだが、痛い。首筋が張る。変な具合に緊張している。

別れた男と深夜にチャットをするのは二回目だ。チャットだから泣いてたってわからない。「(笑)」とか書いておきゃいいさ(書かないけど)。そのかわり男の傍らに女がいたってわからない。もうやめよう。やさしくされると泣ける。涙が止まらない。困る。

ビール瓶の首を掴んで流しの角にぶつけて割る。

やってみたらどうだろうか。嫌だ掃除をするのは私だ。そんな具合に妙に冷静。だから飲むのか。酔って吐くのか。吐いて泣くのか。馬鹿らしい。大人にならねば。

子供欲しい、協力してくれないの?

「協力」という言葉が嫌いだという。どういう屁理屈だ。「協力」は嫌いだから「協力」はできないという。じゃあ何て言えばいいの? 教えてよそうお願いするから。その通りに言いますから。ののしり合いたい訳じゃない。遠慮のない関係はいいのだけれど、わたしは焦っている。男には理解できないらしい。言葉使いを直されても、困る。

排卵確定薬、四本目は真っ白の陰性。結局排卵は検査1日目だったのか。説明書にはもう一度買って翌月検査せよと書いてあった。金使えってことよ。子供なんかタダで出来ろ!

男にメールを送る。返事は来ない。病院では携帯電話の電源を切らなきゃならないのだ。

今日はもう飲まない。やるべきことがある。湯を沸かそう。お茶を入れようポット一杯に。やらなきゃならないことは分かっている。微熱が出る。いつものこと。昼間散歩に行った。もう逃げられないよ。苦しむ権利がわたしにはある。それを楽しもうか。

湯が沸く。

頭も。コーヒーは昼間散々飲んだので紅茶にする。貰い物のフルーツケーキ。最近知り合った甘党の男の事を思い出す。歯、大事にしなよ。コーヒーに砂糖入れてもいいけど。息抜きが、生甲斐になっちゃ生きてけない。主題のない絵は描いても残らないだろう。

残す? 何を残す。仕事か。それもいいけど、やっぱり子供、産みたい。

性交受精妊娠出産授乳育児教育。してみたい。やらせろ。不倫願望なんかこれっぽちもないわよ。出会う男がやりたがるのは最初の二文字だけなのよね、そりゃ好きだけどさわたしも。ああ男の頭を抱きたいな。胸に顔を埋めて欲しい。足をからめて眠りたい。

千円かせと言われる。財布を見ると71円しかなかった。60円貸した。男は煙草を買いに行った。もしくはビールを。

無性に漫画が読みたくなったが新刊を買う金がない。散歩の途中で立読みをした。もっと読みたいぞ。

自分で書こうかな? 自分で描いて自分で読む。この日記みたいに。ふふ。それもいいな。りぼん漫画スクールCクラスの腕前は落ちてないだろうか。いや落ちてるにちがいない。でも、面白いかもしれないな。36にして再びペンを持つ。要再考。

漫画だったらビール瓶割っても片付けなくて、いいでしょ?

日記はさ、こうして文章にした時点で個人的なフィクショナルな妄想となりうるわけだけど、自分としてはあくまで実況中継だから、気持ちは偽りたくないんだよね。読んでる人には関係ないけど、なかった事は書きたくない。てか書けない。あったことだけ書きたい。もしわたしの日記を他人が読んでも面白いのだとしたら、その辺に秘密があると思う。取捨選択編集能力。ん? 偏執、の方かも。わからん、自分じゃ。素材は生だからね。

エンターティメントしたいのかしら? 憂さ晴らし。サーカスの空中ブランコ。胸がすく。

捧げ物。熟練。命を賭ける。大袈裟。祝詞。子守唄。

毎日実験。そして言葉の飛距離を測ってる。わたしの言葉。ダビデの小石。ゴリアト。

ビール瓶。

(男の数字は省略しました。とりあえず、わたしにだけ分かればいいから。)月