2002/03/14(木) 今日はもう脱いで脱いで脱ぎまくるぞお。だって春だもーん。

(附:雪彦への手紙。ほぼ全文)

まだ朝寒いんだけど、もう裸で寝てる。

昨日もムーしゃんとベッドに裸でならんで寝転んでおしゃべりして
て、ああ、やっぱり裸はいいなと思った。プチ楽園だ。時間制限あ
りの。

要さんのところへ行く時、なんで遠くの駅まで1往復半したか、思
い出した。財布を忘れたのが直接の原因だが、夜空がとてもきれい
だったのだ。冬のなごりか。

わたしにわかる星座はオリオンだけ。北斗七星はどれだっけ。上を
見ながら歩いた。星がたくさん見えた。

去年の5月、刃君が東京へ来た時、夜道を一緒に歩きながら「こん
なに星が見えるんですね」と驚いていた。東京と言ってもこのあた
りは23区のはずれだからね。ちょっと歩けば武蔵野だ。刃君の住
んでいるのは四車線道路沿いのマンションだ。近くに高速道路も通
っている。絶え間なく車の音がする。電話越しに救急車のサイレン
がよく聞こえてくる。

この日記、雪彦への手紙と平行して書いてる。思いついたらこっち、
思いついたらあっち、みたいに。思い出す事がたくさんある。そし
て思いつく事も。結局手書きじゃなくて、キイボードで手紙書いて
る。ファイルふたつ開いて。きりがないじょー。

……ここまでを昨日の夜寝るまでに書いた。雪彦への手紙を書き上
げ就寝。朝バイトへ行く前にプリントアウトして出勤がてらポスト
へ投函。午前中の仕事を終えさっき帰宅したところ。

昨日出しそびれた分、今日のたらみはりっぱであった。体重は44
キログラム。まずまず。

体は良いが、心のたらみが溜まりがちである。日記書きたい。幸い
午後は空いている。しかーし、外はやんなるほどの良いお天気であ
る。春だ。春だ。心がざわめく。

散歩に行かにゃしゃーない。日記は帰って来てからだ。

自分で後で読み返したいから、雪彦への手紙の一部をアップしとき
ます。戻ったら今日はいっぱい書くよー。

『手紙のつづき。

 顔見ると、結局、抱き合っちゃうし、おしゃべりも楽しいんだけ
 ど会ってるってことで一時的に満たされてるようでいて、不安定
 で、なかなか先の事が考えられんのだけど、帰ってくると、微妙
 にヒマで、いろいろ考えちゃうね。

 気の迷い、なのであろう。風俗で稼ぐ、なんてアホな考え。そし
 てあながち冗談とも言い切れない気分。しかし、そんなんで稼い
 だ金を……に注ぎ込んでも、雪彦君の気分をますます複雑にこじ
 れさすだけだろう。やめとくのが賢明。やるとしたら内緒で。
(ってオイ!)

 自衛隊に入る男、風俗に走る女。芸術に人生かけるってのも一般
 的でないという点では近い? まあ、適性だよね。何にしろ。

 コンタクトレンズが目に会わなくて、やむおえず眼鏡をしている
 が、本当はいやなんだ。使い捨てはいいと言うが、高いし。もう、
 十年近く前から視力回復手術には興味を持っていたんだ。本で読
 んで。そのころよりは技術も進んで、受ける人も増えたらしいけ
 どまだ、一般的ではないから、親なども、「こわい」「やめろ」
 と言う。

 歯並びも治したんだ。刃君、覚えてないと思うけど、最初に会っ
 た時わたしは歯にブリッジしてた。そのために親知らず3本と小
 臼歯4本も抜いたの。お金ためて。百万くらいかかったよ。そう
 いうこと、したくなるんだよ。自分を変えるっていうか。矯正。

 ……ちゃん(だっけ)も歯並び治したらもっと美人になるのにね。
 あれはあれでいいの? その人なりの特徴? わたしなら治す。

 高3で進路決める時、劇団の養成所行きたいって言ったら、「役
 者なんか無理だ」「歯並びも悪いし」と言われた。じゃあ、治さ
 せろよ! くやしかった。でも治したよ。時間かかったけど、自
 分でお金ためて。役者はまあ、あきらめたが。

 でも、同じ高校の演劇部の先輩で劇団入った人や、同級生で声優
 の養成所行った人よりは、あの頃思い描いてた「感じ」に近い生
 活してると思う。先輩は消息聞かないが。同級生は結婚して子供
 生んだ。地元にすんでる。

 20代でも3回くらい寝た人に面と向かって「でっぱ」と言われ、
 事実だから笑ってしまったが、くやしかった。歯並びは治したけ
 ど、歯は自前だから前歯大きいんだけどね。前はもっと目立って
 たのよ。雪彦君は小さい歯がならんでるのね。犬歯なんかすごく
 ちいちゃい。

 だもんで、「眼鏡ッ子」と言われるとくやしいわけ。早く治した
 い。……さん(※雪彦が、わたしに似ていると言った人。その人
 も眼鏡かけている)から遠く離れたい。一万光年くらい。無理か。

 でね、金が。言いたかないけど金が要る。(中略)でも目は治し
 たい。パリ夫君に会いにフランスにも行きたい。……も行きたい。

 髪の毛は放っておけば伸びるからいいけどね。今日ムーしゃんの
 頭に白髪を1本見つけた。この間は要さんの頭にも1本見つけた。
 刃君も白髪あるね。みな年を取る。いつか死ぬ。生きねば。

 今日はムー氏に「口に出したい」と言われたけど、断わった。雪
 彦ならいいけどそれは今サーヴィス期間中だから。口に出すのっ
 て気持ちいいもんなんですね。中学だか高校の時、よくそうして
 もらっていたらしい。制服汚してもいけないしって。今日は汚す
 もんないじゃん。そしたら「じゃあ中に出そうかな」って言われ
 てわたしはすごく期待した。結局膣外射精だったけど。がっかり
 して泣いてるの。あーあ。

 わんわんの子供できない。セックスしてないから。最後にしたの
 いつだっけ。去年の12月だったかな。でも、プレッシャーのせ
 いか最後まで行かなかった。こんなわたしが女房じゃわんわんも
 気の毒だ。

 雪彦君に言うような問題じゃなかった。ごめん。でも、「もし、
 お子さんできたら……」とかいう話をされると暗くなる。してね
 ーもんできねーよ、って。じゃあすりゃいいじゃんと思うでしょ。
 でも出来ないんだよね。なんかね。欲しいけど、濡れねえ。

 レイプだとショックで排卵しちゃったりするというよ。竹内久美
 子って人の本で読んだけど。レイプの妊娠率って高いんだって。
 あと、大災害のあった時とか。わたし受精した事すらないんだよ
 な。医者行ったほうがいいのか。それもいやだ。わがまま。

 グチになっちゃった。

 前向きに未来を語ろうと思ってたのに。

 要さんが会社立ち上げるという話に刺激を受けて、やるなあ、す
 げえなあ、さすがだなあ、ようしわたしもってなるはずだったん
 だが。会社おこすまではしないよ、わたしは。要さんにも腹心、
 というか新しい出会いがあって、……さんという人材を得た上で
 の行動だと思う。しっかりした人なんだこの……さんていうのが。

 年を聞いて驚いた。まだ32だって。実務は全部この人がやる。
 社長が要さん。他にもう1人。全部で3人。

 わたしも出会いが必要だ。それには自分の事をしっかりやらなき
 ゃな。と言うわけで、やります。気の迷いをおこしている場合じ
 ゃなかった。でも、本気でくやしかったんだよ。馬鹿みたいだけ
 ど。風俗嬢と張り合ってどうするというのよね。年のこといわれ
 ると、事実なだけに弱いぜ。あたしが……さん(※雪彦が去年の
 いまごろ片想いしていた人。20代)だったらよかった、なんて。

 誰の事も幸せになんかできない。そう思うとつらいね。でも、人
 は自分で自分の幸せをつかむしかないのだろう。つかむ、ってい
 うか、幸せが舞い込みやすいような自分でいる、っていうか。幸
 せのことは難しいな。簡単には語れないや。

 でも結構簡単な事で幸せになれたりして、宗教に走るまでもなく。

 雪彦の事は本当に好きなんだよ。ムー氏にも惚れたけど彼女いる
 し、今でも切れたわけじゃないみたいだし、よくわからん。あの
 人はあまり、自分の事を多くは語らないのだ。そういうつきあい。

 刃君の替わり? 最初はそうだったかも。途中からは違う。多分
 7月に刃君に東京帰ると嘘ついてそのまま雪彦君の部屋に戻った
 ころから。何やってんだろなーオレ、と頭抱えたい気分だったが。

 考えるのには役に立った。刃君とはもう2度とセックスできなく
 てもいいけど、雪彦君とは続けたい。そゆこと。追いかけても無
 駄だとわかったし。そう思うようになってから、刃君電話掛けて
 きてくれるようになったんだよね。それまでは、いつもわたしが
 掛けるばかりだったんだけど。そんなもんだ。

 もうすぐふたりで会ってから一年たつのだね。手帳を見てみよう。
 ……見つからない。日記があった。20日の晩に発って21日に
 着いて、22には帰った。……公園の植物園に行ったんだ。その
 後が、4月5~8日。この頃バイトがすごくいそがしかったみた
 いなのによく休みとれたな。今年は桜は早いのだろうか。暖冬だ
 ったが。

 わたしとのこうしたつき合いも雪彦君にとっちゃ気苦労の種なん
 だね。悪りいねえ。たしかに、去年の3月は……行きたくてたま
 らなかったんだよ。それはそれとして、あなたの仕事は高く買っ
 ていたのだ。(中略)

 気持ちが変わるのが不安なの? いつか捨てられる、とか考えち
 ゃう? でも、変わらないでは生きていけないでしょう。変わら
 なくちゃ困るでしょう、雪彦君だって。でも、多分わかってるん
 だよね。わかってたって不安なんだよね、きっと。だれかに出会
 うよ。これから。雪彦君はまだ24だもん。

 好きですが。縛りたいですが。で、縛られたいですが。今のうち、
 という事で。泣いちゃったりしますが、許して。今だけ。

 ああ、本当に好きですよ。ラブレターね、これ。愚痴メールじゃ
 なくて。愚痴はげろといっしょだから、吐いてすっきりしたら、
 あとは水に流してもらって。どさくさにまぎれて愛してます、な
 んて書いてみたりもして。

 雪彦。

 この二文字だけで、今は泣けます。「……(下の名前)」でもい
 ける。帰ってきて二週間目あたりが本当、つらいんだよ。何だか
 知らないけど。「雪彦、会いたい」で、涙2粒ぽろり。しょうも
 な。でも泣けるのは泣けないより、楽なんだ。信号待ちしながら
 泣いてたもんなあ、今日なんか。涙腺ゆるゆるだ。年のせい、と
 言いたいんでしょ。春のせいだわ。きっとそうだわ。天気が良す
 ぎるのよ。

 よくわけのわからん手紙になっちゃったけど、読み返して出しま
 す。とりとめもなく書きました。また会ってとりとめもなくおし
 ゃべりしたいものです。

 2002.3.14 月子

追伸:「……」とガムありがとー。さっそくいただくよ。
覚えている限りではホワイトデイに何かもらったのって、初めて。
だいたいがチョコレートなど差し上げないで生きて来たので。』

こんな感じ。

あっさり書いたつもりだが、すごくこってりしてらあ。

前回の手紙読んだ雪彦はメールで「すこし幸せな複雑な気分になり
ました。」と感想をくれた。甘いだけの手紙は書けないのさ。

ほんと心を裸にするのは難しいよ。

おっと、出かけてきます。

続きは帰ってから。

月子