2002/05/28(火) SEXの時に涙を流すのは、何故なんだか自分でもわからないわ。(前回からのづづき)<e-mode>

※注意:e-modeとはエロティック・モードのことです。この日記は露骨な性的表現を含みますのでそのような内容の文章を読みたくない方はご遠慮ください。

 

ただ、子供欲しいって願いが、単なる女のわがままみたいに扱われるのは本当にかなわないわ。なにも十人目を産みたいって言ってるんじゃないのに。やるせない。

でも益荒男の子供を産もうという気はないので、彼とのセックスは遊びと割り切れる。たとえコンドームにさえぎられていても、膣の中で脈打つペニスは愛しい。顔にかけられるのは嫌い。中で出して欲しい。

騎乗位で。

「唾液を落として。」と言われた。

はあはあと喘いでいるので口の中が乾いていて唾液がなかなか集まらない。くちづけやフェラチオしてると湧いてくるのだけど。奥から集めて舌先でよって落とそうとするのだけれど唾液は玉になってなかなか降りていかない。しかたなく口移し。くちびるに触れたら新しい唾液が湧いてきた。舌でよって男の口に落とす。

「甘い、何で?」

何でかしらん? 本当に甘いの? 錯覚だろう。気のせいだろう。ムードに酔っているのだ、男もわたしも。いや、酔っているのはわたしだけかもしれない。益荒男は女の体液を受け入れることが本当に好きな変態男なのかも知れない。それだっていいです。拒まれるより、受け入れてもらうことは心地よい。それが飲尿だろうと、唾液の交換だろうと。(それでは浣腸は? スカトロは? タンポンちゅうちゅうまでいったらどうだろうか? わたしは遭遇したことはないが。)

かつて唾液を顔中に塗りたくられたことがあった。別の男に。わたしはその男のことを崇拝、に近いほど恋焦がれていたのでとてもうっとりしたものだ。唾液は飲んだだろうか。それは甘かっただろうか。覚えているのは、にたーりと笑った男の顔(俺が化粧してやるよ)と、朝帰りして実家で顔を洗った時にわたしの皮膚に貼りついていた男の唾液の溶ける感触だ。相手の男は尊敬に値するほどのとてつもない女たらしだったから、その後もかまって欲しくてずいぶん執着したものだが見事に玉砕した。二十代前半の思い出だ。

甘いだけの記憶なら、文字に起こす必要もないのだが。

益荒男と、わたしはいつまで続けられるだろう。わだかまりなく唾液の交換をしたり、せまい布団に枕を並べて眠ったり、ツボを指圧しあったりマッサージしてあげたり。

わたしのマッサージに「愛を感じる。」と益荒男は言う。

そう言ってわたしをおだててマッサージさせてるのであってもかまわない。いつもどこかしら調子の悪い益荒男。寝起きにはたいてい肩だの腰だのふくらはぎだのが凝っている。凝りのポイントを探し出して揉みほぐす。「その、もう少し下、下、そう。そこがツボです。」自分のツボをナビゲーションする益荒男。後でシーツみるとよだれが垂れている。失禁だ。気持ちよかったのね。

眠ったのは明け方で、起きたら昼近くだった。

益荒男はいつも自分の見た夢の報告をする。簡単に自己分析もする。たいてい見る夢は決まっているのだそうだ。わたしは夢は断片しか覚えていない。覚えている部分は報告する。しゃべっているうちに思い出したりもする。益荒男の夢は豪華三本立てとか五本立てとか、まあ見ていても疲れそうな夢であることが多い。だから寝ていても肩が凝るのだよ。眠れるだけまだよいが。

マッサージの後は全身で背中の上に乗る。ぐったりと力を抜いてのし餅みたいに重なり合う。逆にわたしが乗ってもらうこともある。人間の体って気持ちいいの。重みと温もりを感じながら、しばらくそのままじっとしている。ゆっくりとたっぷりと意識して呼吸する。何の用事もない身の上の幸せが身にしみる。今だけ、じっと、このまま。

益荒男とのセックスはこの脱力感も込みでの心地よさね。入眠前に「おやすみ。」と手と手をつないだり、目が醒めたのかなと思ったら長い腕をわたしの体に回してまた眠ってしまったり。まどろむ時間を共有できるのって本当にぜいたくなことなんだ。ホテルで二時間、三時間の逢瀬をあわただしくくり返す、そういう異性との交際も経験があるからわかる。益荒男とは無理だろう。再会して、彼の他人に対する緊張が解けるだけでもその位の時間がかかる。なにしろ最初の内は目を合わせてさえくれないのだ。

しかしわたしは、人になつきにくい男を、こうして時間をかけて手なずけて、どうしようというのだろう。気持ちのいいひとときを過ごす。それだけで十分。常にそんな余分なもののない関係でいられるのだろうか。社会的なルールはふたりの間に存在しない。自分たちで決めていく。「恋っていうな」、「子供欲しいっていうな」、「離婚するな」、「めそめそするな」(するけど)心地いい。そしてひどく切ない。

今頃一人で眠る(もしくは眠れない)益荒男。

これから待ち合わせなのと言うと「行くなよ部屋にいろよ。」と言ってみる益荒男。

銀行のATMでわたしが手数料とられたと腹を立てていたら自分の財布から百円玉出してわたしにくれた益荒男。

植物園でわたしが彼のひじのあたりをもじもじ触れていたら「ああ、もう!」と仕方なしに手をつないでくれた益荒男。

回転すし屋で「今日はパフェはやめておく。」と言った益荒男。

カレーの香辛料が口にあわず「せっかく作ってくれたのに食べられなくてごめんなさい」と言った益荒男。

中古のチャリンコのパンクした後輪を自分で修理する益荒男。

がりがりの益荒男。

わたしは彼に出来るだけのことをしてあげる。でもわたしはきっと彼に何もしてあげられない。人が人にしてあげられることって本当に限られているのだ。それでもわたしは会いに行くだろう。そしてまた一緒に食事したりビール飲んだり朝までおしゃべりしたりセックスしたりマッサージしたりするのだろう。

今夜わたしは隣に慣れきった男の匂いを嗅ぎながら眠る。うっとおしい。そして安心する。いつまでこのままいられるのか。別れた男が心配してくれているらしい。でもだからどうなるというものでもない。気持ちはうれしい。涙が出るほどに。そして実際涙が止まらない。わたしは一体どうするのがよいのだろうか。

ありがとうよ。悪いね。(つづく)

あとコマジュンさん扁桃腺腫れて熱出してるんだって? ついでみたいで何だけど、健康が回復するようにお祈りしてるわ。コマちゃんみたいな人が元気でぶーらぶらしていてくれないと、この世はつまんなくってかなわないのよ、本当に。
月子
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