2002/03/14(木) わたし『ソフトエステって何?』、雪彦『手コキのことだと思う』。

話はさかのぼるが1月12日のフラメンコさんの日記は3部構成で、

その第2話に、「どきどき風俗嬢の巻」という内容で面接に行った
話が出てくる。それがずうっと記憶に残ってて、先日本屋で高収入
アルバイト雑誌つうものを買ってみた。

2本かけもちしていたバイトの内の片方が最近、お呼びがかからな
くて、もう少し働きたいなと思っていたのだ。純粋にお金のために。
しかし、何もいきなり風俗ってのは、飛躍しすぎと思うでしょ。借
金とかの、やむを得ぬ事情があるわけでもなし。

雑誌を買ってみた直接の引き金になったのは、雪彦と電話で話して
いた時、半ば冗談で「風俗で稼ごうかな」と言ったら「月子さんじ
ゃ無理無理」と言われたのが妙にくやしかったからだ。

そういう裏の世界をのぞいてみたいという興味もある。雪彦の風俗
体験を聞かせてもらうが、いまいちイメージできないのが非常にも
どかしい。

結局、メールで相談したら電話が掛かってきて止められた。当り前
か。自分じゃ結構本気のつもりだったんだが。甘い考えだったか。

「興味があるなら取材をしたらいいじゃないですか」

あり? 見抜かれてる? うん、しごく最もな意見。

「プロは覚悟が違うんです。目の光が違うんです。まったく別のも
のなんです。月子さんには無理」

雪彦に言わせればプロ野球なみに、ある意味それ以上にきびしい世
界なのだそうだ。絶対傷つくし消耗する。派手な格好しなきゃなら
ん(そうなの?)。そんな月子さんは嫌だ見たくない、と言う。

「そんなことになったら友達が自衛隊に入っちゃったのと同じくら
いショック受ける」

そうか。じゃあ、もし性風俗でお金を得たとしても雪彦には内緒だ
な、なんてまだ心の裏で考えている。無理だ無理だと言われる程、
くやしさがこみ上げてくるのを押さえきれない。

「今は不況で、若くて可愛い子がいくらでも風俗に流れてるんです。
月子さんの年齢じゃマニアックすぎる、絶対みじめになります」

くやしさの源はここか。若さを価値とする考え方への反感。でも、
それだけではないようだ。

「年齢のいってる人は、それなりのテクニックがないと。プロがそ
の気になれば2秒でいかせますよ。」

愛なんかまるでない、と分かっているのにすごい快感があるのだそ
うだ。はっきり言ってわたしのテクは大した事ないらしい。がーん。
そうか、愛でテクのなさをおぎなっていたのか。雪彦、あなた正直
すぎる。

「じゃあ、テクを磨くよ」

しかし、どうやって。わたしは、くやしまぎれに口から出任せを言
っているようだ。どっちにしても1人で思いつめていただけなので、
「雑誌を買う」→「面接に行く」まではもっと強い動機がないと踏
み切れないだろう。所詮、お気楽主婦の空想か。そんな自分の甘さ
にも腹が立つのである。

結局、性風俗の世界は限られた情報であれこれ空想するしかないの
であろうか。わたしのこのくやしさはどこからわいてくるのか。

「そんなに思うように稼げるもんじゃありませんよ。アブク銭だし。
きびしい世界ですよ」

で、この問題は一時お預けなんである。24歳にさとされてりゃ世
話ねえや。忠告はいたみいる。しかし、くやしさは残るんだなあ。

「少女だね」

と言われた。いい意味じゃないよ。くやしいから経験してやる、と
いう発想がガキだと言うことさ。少女だ少女だ、とはやしたてられ
た。それがまたくやしい。まあ、つきあってる男に相談する内容じ
ゃかった。どうかしてた。

うーん、しかし。

散歩で迷子になるのは好きだが、気の迷いは苦しいなあ。すかっと
答えがでりゃいいんだが。まっとうなバイトで稼ぐしかないか。他
にしてみたい仕事は絵画モデル。それを言うと、

「結局、裸になりたいんかい」

と言われた。ピンポーン。そうなんだ。わたしは裸になりたいんだ。
でもまあ当分は好きな男の前でだけ裸になって満足していよう。

あとこの日記と。

計画は頓挫。もし実行するとしても次は秘密裏に進める。

この話はとりあえずこれでおしまい!

月子

2002/03/14(木) 今日はもう脱いで脱いで脱ぎまくるぞお。だって春だもーん。

(附:雪彦への手紙。ほぼ全文)

まだ朝寒いんだけど、もう裸で寝てる。

昨日もムーしゃんとベッドに裸でならんで寝転んでおしゃべりして
て、ああ、やっぱり裸はいいなと思った。プチ楽園だ。時間制限あ
りの。

要さんのところへ行く時、なんで遠くの駅まで1往復半したか、思
い出した。財布を忘れたのが直接の原因だが、夜空がとてもきれい
だったのだ。冬のなごりか。

わたしにわかる星座はオリオンだけ。北斗七星はどれだっけ。上を
見ながら歩いた。星がたくさん見えた。

去年の5月、刃君が東京へ来た時、夜道を一緒に歩きながら「こん
なに星が見えるんですね」と驚いていた。東京と言ってもこのあた
りは23区のはずれだからね。ちょっと歩けば武蔵野だ。刃君の住
んでいるのは四車線道路沿いのマンションだ。近くに高速道路も通
っている。絶え間なく車の音がする。電話越しに救急車のサイレン
がよく聞こえてくる。

この日記、雪彦への手紙と平行して書いてる。思いついたらこっち、
思いついたらあっち、みたいに。思い出す事がたくさんある。そし
て思いつく事も。結局手書きじゃなくて、キイボードで手紙書いて
る。ファイルふたつ開いて。きりがないじょー。

……ここまでを昨日の夜寝るまでに書いた。雪彦への手紙を書き上
げ就寝。朝バイトへ行く前にプリントアウトして出勤がてらポスト
へ投函。午前中の仕事を終えさっき帰宅したところ。

昨日出しそびれた分、今日のたらみはりっぱであった。体重は44
キログラム。まずまず。

体は良いが、心のたらみが溜まりがちである。日記書きたい。幸い
午後は空いている。しかーし、外はやんなるほどの良いお天気であ
る。春だ。春だ。心がざわめく。

散歩に行かにゃしゃーない。日記は帰って来てからだ。

自分で後で読み返したいから、雪彦への手紙の一部をアップしとき
ます。戻ったら今日はいっぱい書くよー。

『手紙のつづき。

 顔見ると、結局、抱き合っちゃうし、おしゃべりも楽しいんだけ
 ど会ってるってことで一時的に満たされてるようでいて、不安定
 で、なかなか先の事が考えられんのだけど、帰ってくると、微妙
 にヒマで、いろいろ考えちゃうね。

 気の迷い、なのであろう。風俗で稼ぐ、なんてアホな考え。そし
 てあながち冗談とも言い切れない気分。しかし、そんなんで稼い
 だ金を……に注ぎ込んでも、雪彦君の気分をますます複雑にこじ
 れさすだけだろう。やめとくのが賢明。やるとしたら内緒で。
(ってオイ!)

 自衛隊に入る男、風俗に走る女。芸術に人生かけるってのも一般
 的でないという点では近い? まあ、適性だよね。何にしろ。

 コンタクトレンズが目に会わなくて、やむおえず眼鏡をしている
 が、本当はいやなんだ。使い捨てはいいと言うが、高いし。もう、
 十年近く前から視力回復手術には興味を持っていたんだ。本で読
 んで。そのころよりは技術も進んで、受ける人も増えたらしいけ
 どまだ、一般的ではないから、親なども、「こわい」「やめろ」
 と言う。

 歯並びも治したんだ。刃君、覚えてないと思うけど、最初に会っ
 た時わたしは歯にブリッジしてた。そのために親知らず3本と小
 臼歯4本も抜いたの。お金ためて。百万くらいかかったよ。そう
 いうこと、したくなるんだよ。自分を変えるっていうか。矯正。

 ……ちゃん(だっけ)も歯並び治したらもっと美人になるのにね。
 あれはあれでいいの? その人なりの特徴? わたしなら治す。

 高3で進路決める時、劇団の養成所行きたいって言ったら、「役
 者なんか無理だ」「歯並びも悪いし」と言われた。じゃあ、治さ
 せろよ! くやしかった。でも治したよ。時間かかったけど、自
 分でお金ためて。役者はまあ、あきらめたが。

 でも、同じ高校の演劇部の先輩で劇団入った人や、同級生で声優
 の養成所行った人よりは、あの頃思い描いてた「感じ」に近い生
 活してると思う。先輩は消息聞かないが。同級生は結婚して子供
 生んだ。地元にすんでる。

 20代でも3回くらい寝た人に面と向かって「でっぱ」と言われ、
 事実だから笑ってしまったが、くやしかった。歯並びは治したけ
 ど、歯は自前だから前歯大きいんだけどね。前はもっと目立って
 たのよ。雪彦君は小さい歯がならんでるのね。犬歯なんかすごく
 ちいちゃい。

 だもんで、「眼鏡ッ子」と言われるとくやしいわけ。早く治した
 い。……さん(※雪彦が、わたしに似ていると言った人。その人
 も眼鏡かけている)から遠く離れたい。一万光年くらい。無理か。

 でね、金が。言いたかないけど金が要る。(中略)でも目は治し
 たい。パリ夫君に会いにフランスにも行きたい。……も行きたい。

 髪の毛は放っておけば伸びるからいいけどね。今日ムーしゃんの
 頭に白髪を1本見つけた。この間は要さんの頭にも1本見つけた。
 刃君も白髪あるね。みな年を取る。いつか死ぬ。生きねば。

 今日はムー氏に「口に出したい」と言われたけど、断わった。雪
 彦ならいいけどそれは今サーヴィス期間中だから。口に出すのっ
 て気持ちいいもんなんですね。中学だか高校の時、よくそうして
 もらっていたらしい。制服汚してもいけないしって。今日は汚す
 もんないじゃん。そしたら「じゃあ中に出そうかな」って言われ
 てわたしはすごく期待した。結局膣外射精だったけど。がっかり
 して泣いてるの。あーあ。

 わんわんの子供できない。セックスしてないから。最後にしたの
 いつだっけ。去年の12月だったかな。でも、プレッシャーのせ
 いか最後まで行かなかった。こんなわたしが女房じゃわんわんも
 気の毒だ。

 雪彦君に言うような問題じゃなかった。ごめん。でも、「もし、
 お子さんできたら……」とかいう話をされると暗くなる。してね
 ーもんできねーよ、って。じゃあすりゃいいじゃんと思うでしょ。
 でも出来ないんだよね。なんかね。欲しいけど、濡れねえ。

 レイプだとショックで排卵しちゃったりするというよ。竹内久美
 子って人の本で読んだけど。レイプの妊娠率って高いんだって。
 あと、大災害のあった時とか。わたし受精した事すらないんだよ
 な。医者行ったほうがいいのか。それもいやだ。わがまま。

 グチになっちゃった。

 前向きに未来を語ろうと思ってたのに。

 要さんが会社立ち上げるという話に刺激を受けて、やるなあ、す
 げえなあ、さすがだなあ、ようしわたしもってなるはずだったん
 だが。会社おこすまではしないよ、わたしは。要さんにも腹心、
 というか新しい出会いがあって、……さんという人材を得た上で
 の行動だと思う。しっかりした人なんだこの……さんていうのが。

 年を聞いて驚いた。まだ32だって。実務は全部この人がやる。
 社長が要さん。他にもう1人。全部で3人。

 わたしも出会いが必要だ。それには自分の事をしっかりやらなき
 ゃな。と言うわけで、やります。気の迷いをおこしている場合じ
 ゃなかった。でも、本気でくやしかったんだよ。馬鹿みたいだけ
 ど。風俗嬢と張り合ってどうするというのよね。年のこといわれ
 ると、事実なだけに弱いぜ。あたしが……さん(※雪彦が去年の
 いまごろ片想いしていた人。20代)だったらよかった、なんて。

 誰の事も幸せになんかできない。そう思うとつらいね。でも、人
 は自分で自分の幸せをつかむしかないのだろう。つかむ、ってい
 うか、幸せが舞い込みやすいような自分でいる、っていうか。幸
 せのことは難しいな。簡単には語れないや。

 でも結構簡単な事で幸せになれたりして、宗教に走るまでもなく。

 雪彦の事は本当に好きなんだよ。ムー氏にも惚れたけど彼女いる
 し、今でも切れたわけじゃないみたいだし、よくわからん。あの
 人はあまり、自分の事を多くは語らないのだ。そういうつきあい。

 刃君の替わり? 最初はそうだったかも。途中からは違う。多分
 7月に刃君に東京帰ると嘘ついてそのまま雪彦君の部屋に戻った
 ころから。何やってんだろなーオレ、と頭抱えたい気分だったが。

 考えるのには役に立った。刃君とはもう2度とセックスできなく
 てもいいけど、雪彦君とは続けたい。そゆこと。追いかけても無
 駄だとわかったし。そう思うようになってから、刃君電話掛けて
 きてくれるようになったんだよね。それまでは、いつもわたしが
 掛けるばかりだったんだけど。そんなもんだ。

 もうすぐふたりで会ってから一年たつのだね。手帳を見てみよう。
 ……見つからない。日記があった。20日の晩に発って21日に
 着いて、22には帰った。……公園の植物園に行ったんだ。その
 後が、4月5~8日。この頃バイトがすごくいそがしかったみた
 いなのによく休みとれたな。今年は桜は早いのだろうか。暖冬だ
 ったが。

 わたしとのこうしたつき合いも雪彦君にとっちゃ気苦労の種なん
 だね。悪りいねえ。たしかに、去年の3月は……行きたくてたま
 らなかったんだよ。それはそれとして、あなたの仕事は高く買っ
 ていたのだ。(中略)

 気持ちが変わるのが不安なの? いつか捨てられる、とか考えち
 ゃう? でも、変わらないでは生きていけないでしょう。変わら
 なくちゃ困るでしょう、雪彦君だって。でも、多分わかってるん
 だよね。わかってたって不安なんだよね、きっと。だれかに出会
 うよ。これから。雪彦君はまだ24だもん。

 好きですが。縛りたいですが。で、縛られたいですが。今のうち、
 という事で。泣いちゃったりしますが、許して。今だけ。

 ああ、本当に好きですよ。ラブレターね、これ。愚痴メールじゃ
 なくて。愚痴はげろといっしょだから、吐いてすっきりしたら、
 あとは水に流してもらって。どさくさにまぎれて愛してます、な
 んて書いてみたりもして。

 雪彦。

 この二文字だけで、今は泣けます。「……(下の名前)」でもい
 ける。帰ってきて二週間目あたりが本当、つらいんだよ。何だか
 知らないけど。「雪彦、会いたい」で、涙2粒ぽろり。しょうも
 な。でも泣けるのは泣けないより、楽なんだ。信号待ちしながら
 泣いてたもんなあ、今日なんか。涙腺ゆるゆるだ。年のせい、と
 言いたいんでしょ。春のせいだわ。きっとそうだわ。天気が良す
 ぎるのよ。

 よくわけのわからん手紙になっちゃったけど、読み返して出しま
 す。とりとめもなく書きました。また会ってとりとめもなくおし
 ゃべりしたいものです。

 2002.3.14 月子

追伸:「……」とガムありがとー。さっそくいただくよ。
覚えている限りではホワイトデイに何かもらったのって、初めて。
だいたいがチョコレートなど差し上げないで生きて来たので。』

こんな感じ。

あっさり書いたつもりだが、すごくこってりしてらあ。

前回の手紙読んだ雪彦はメールで「すこし幸せな複雑な気分になり
ました。」と感想をくれた。甘いだけの手紙は書けないのさ。

ほんと心を裸にするのは難しいよ。

おっと、出かけてきます。

続きは帰ってから。

月子

2002/03/13(水) 冗談なら「じゃあ中で出そうか」って言わないで、期待しちゃうから。(結局今日も膣外射精)

春でやんす。

雪彦のメールにも「春の怪しい空気でさわやかに欲情」とあったけ
ど、わたしもさわやかに欲情しムーしゃんと誘い合ってホテルへ。

ああ、その前に。昨日の日記で「あることを計画中」と書いたのだ
が、メールで雪彦に相談したら止められた。それで、計画中止にす
るかどうか再び迷っているところ。楽屋サイドにかかわる事。詳し
くはまた書きます。

そして、やたら涙もろいわたし。

メールをもらっては泣く。わたしの返信を読んで心配してかかって
きた電話で泣く。だって、やさしいんだもん。楽しく笑って話しな
がら涙こぼしてる。電話切ってからも思い出して泣いてる。今日も
泣いた。

わかってる。そろそろ2週間たつんだ、帰ってきてから。禁断症状。

ムーしゃんとの逢瀬を終えて帰ってくると、雪彦からメールが3通。
郵便物がひとつ。これは仕事に関するもの。でもいちおうホワイト
デイってことで、ちっこいフーセンガムの15個パックが同封され
ていた。駄菓子なやつ。それと便箋1枚分の簡単な手紙。

メールは近況報告。手紙まだ来ないってのと、帰ったら手紙が着い
てたってのと追伸が1通。緊急の用事ではなかった。

それでも、いっぱい言葉をもらったな。メール、電話、手紙。

うれしい、雪彦。

「会いたい」って思うだけで泣ける。ムーしゃんに会いに行く電車
の中でも泣いてた。信号待ちしながら泣いてた。涙腺ゆるゆる。こ
んなのは初めてだなあ。酒も入ってないのにさあ。

雪彦以前は、恋じゃ泣けなかったよ。泣きゃ楽になるんだが、と思
ってもせいぜい苦ーい涙がひと粒ふた粒程度で、苦しいまま。最近
は涙の大安売りだもんなあ。これ、雪彦に言わせると「年のせい」
ってことになるんだけど。

まあ、そうかも。テレビでトトロの再放送見て、メイちゃんの「バ
バイ」って声がかわいいってだけで涙出ちゃうから。わたしは長
女だから、「妹」がぐっとくるんだよ。可愛くて健気でちゃっかり
してて、いじめても泣かせてもついて来て、笑ってる。きゅん。

今じゃその妹も30過ぎてる。みんな年を取る。

さて、泣いてばかりもいられないよお。目の前においしそうな男が
いるではないか。その名はムーしゃん。9時半に携帯に3度電話し
て起こして待ち合せ。わあ、ひげ面だあ。「ひげ伸ばしてるの?」
「剃る剃る剃る剃る今すぐ剃る」って事でコンビニ寄ってホテルへ。

ジェリーしゃんの日記にヒントを得て、ベッドでの模様を録音して
雪彦のオナニーのお供に送ろうと思ったのだが結局失敗。がんばっ
たんだけどなあ。いい声で鳴くように。バッテリー切れか。前日の
夜に充電しておいたはずなのだが。残念である。

録音は失敗したけど性交は楽しかった。めずらしく眠り込まなかっ
たムーしゃん。たっぷり愛し合いました。お風呂の後でムーしゃん
のお尻の穴を舐めちゃったよ。口に出したいって言うのは勘弁して
もらった。あやうく説得されそうになったけど。めずらしく、おし
ゃべりしながら交わった。やっぱり、その方が楽しいな。

「月子さん」

って喘ぎながらわたしの名前をはさむの。うれしい。初めてムーし
ゃんとセックスした時、「どうして欲しい?」って聞かれて(2度
目だったかな)「名前を呼んで」ってリクエストしたの。そしたら、
ムーしゃんは、呼び捨てにしようとして、

「月子……さん。やっぱり言えない」

ってそれからはずっと「さん」づけで。1回だけ感情高ぶって、
「月子、月子」って呼び捨てにされた時ぞくっとする程嬉しかった。
何なのだろう。あの嬉しさは。

雪彦はメールで時々呼び捨てにする。文脈によって。

これから雪彦に手紙の続き書くからこの辺で。長いんだよねえ、わ
たしの手紙。それも読者(雪彦)あってこそだが。

ジェリーしゃん、カードありがとう。うれしかった。

ではまた。

(泣く恐れがあるので今日は表現控えめ)

月子

2002/03/12(火) ああっ! 愛のげろ交換は小鳥の赤ちゃんプレイ? もしかして……。

昨日おとといと、たらみがどっさりで(なんのこっちゃ? という

方はフラメンコさんの日記『私ほんとにウツですか?』3月7日を
読んでね)今朝体重を量ったら43.5キログラムだった。おお。

日記ダイエットは有効。心に溜まってる事を吐き出して心身ともに
すっきり。でももちろんPCの前に座ってるだけじゃだめで、水分
たっぷり採る、野菜を採る、炭水化物控える、歩く、部屋でのんび
りする。これでだいたいOK。それでも「低潮期」にはお腹にたら
みがたまりがちになる。肌もカサつく。

体が軽いと気分がいい。自分のベスト体重、45から43に変えよ
うかな。ブラがゆるいので新しいのを買わなくちゃならないが。

ヌードで測るとアンダーが72センチ、トップが82センチくらい。
ブラジャーのサイズは75のCカップを選ぶが、これがメーカーに
よって合ったり合わなかったり。試着は必ずするようにしてるけど、
自分のおっぱいにぴったりフィットするブラってなかなか出会えな
いんだよね。予算もあるし。

20代のもっとも太っていたころはEカップつけてた。選択肢ほと
んどなし。下着のセールなんかで妥協してDカップ、それも気に入
った色やデザインは望めないし、それにくらべたら今はまだまし。
それでも年とともに体がやわらかくなってくるからワイヤー入りじ
ゃないと駄目。

中学生みたいなソフトブラ、したいんだけどな。

対戦士アイテム。探したんだ。でもこれまた白は少ないんだよ。

ジェリーさんの日記に「スポーツ・ブラ」って単語出てきて懐かし
かった。あー、彼女の日記ますます面白くなりますねー。読んでて
よかったわん。わたしの目に狂いはなかった。

バイトから帰ると画業を営む友人からセーターのお礼が届いていた。

レモングラスのハーブウオーターと近くの海で採ったと言うひじき。

素敵なプレゼント。心にいいものと体にいいもの。バランス取れて
る。ハーブ・ウオーターの入っているボトルのラベルをデザインし
たそうだ。素敵な人なんだが、口臭があるのが玉に瑕。何でなんだ。

寝る前にたっぷり時間を掛けてていねいにブラッシングする習慣を
持っているのに。泊まりに行った時見た。奥さんと、おしゃべりし
ながら長々と歯を磨いていたものだよ。胃が悪いのか、虫歯がある
のか、それともわたしにとってだけ嫌な臭いなのだろうか。

「口、臭いですよ」

とは、なかなか言えないものだ。つきあってる男になら遠慮なく言
うが。「寝起きの臭い口じゃキスできないからね」と目が覚めると
歯を磨いてミントの香りのキスをくれる雪彦。布団から出るのが面
倒くさい時は「くちびるだけね。ディープはなしね」と言って交わ
る。初めてわたしとセックスした時は、わたしの息が酒臭いのを必
死で耐えていたそうだ。緊張と酔いと酒臭さで、結局夜中に吐いて
たっけ。「すみません。こんな体たらくで」と痛む胃を抱えて部屋
の真中にうずくまってた。今日はどんな体たらくでいるんだろう。

会いたいな。

昔の彼女と電話で話している時「あいかわらずの体たらくですよ」
と言ったら「体たらくって何?」と聞かれた雪彦。そこから説明し
なくちゃならないので会話にならん、と言ってた。ちなみに、体た
らく=(みっともない)姿・ありさま。まあ雪彦のボキャブラリが
妙にレトロであるとも言える。わたしは会話してて楽しいが。

昨日、日記書いてて、げろ交換は究極のディープ・キスであろうか、
何てアホな考えをめぐらしていたのだが、考えたら、鳥って哺乳類
じゃないんだよね。卵から生れて親鳥から半分消化した状態のえさ
をもらうわけだよ。それと一緒にバクテリアやら何やら生きて行く
のに必要な物をもらうらしいんだ。だから、鳥類にとってのげろは
哺乳動物にとっての「乳」に相当するのではないかと思い当たった
のだ。だから小鳥のげろ交換は、熱々カップルが赤ちゃん言葉で話
し合うみたいなものなのではないかと思うのですが、どう?

あと刃君からメールの返事があった。大勢で花見をすることになり
そう。刃君の恋人見れるのかな。来てたら遠慮するけどそうじゃな
かったら部屋に泊めてもらおうっと。

本当は雪彦の所に入浸っていたい。せっかく近くまで行くのだから。
心情的にはそうなのだが、それじゃヤバイよとわたしの危険センサ
ーが点滅するのさ。物事はバランス、それからタイミングが大事。

あーあ。天気良すぎ。洗濯日和。

雪彦に電話したい。でも今日は我慢。あることを計画中。まだ迷っ
てる。洗濯物でも干しながら考えよう。

では、またねえ。

月子
mail to:hdakanotuki@lycos.jp

2002/03/11(月) 『文学少女』って言葉は制服の処女を思わせるんだが、それはそれとしてオナニーばかりしてるのは体にいいのか悪いのか。

用事がてら散歩をしていたら、頭の中にいろんな考えがあふれて来

て止まらなくなった。いったん部屋に戻ったので書きとめておく。

村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』で主人公のおじ(超脇役)が
「時間をかけることが復讐だ」というようなことを言う。最初に読
んだ時からとても気になったのだが、また頭に浮かんできた。と言
うより胸の中にわいて来た。あの本は3回ほど通読したあと古本屋
に売ってしまったので、次読むときは文庫で買おうと思っていた。
ついにその時期がきたか。村上春樹はわたしにとって大事な作家だ。
新刊は妹に回してもらって自分では買わないのだが、既刊を何度で
も再読する。しばらく読んでなかったけど、また読書の季節がめぐ
ってきたのかもしれない。

雪彦に手紙を出した。まだ、書きたいことが書けてないから多分続
きを書いて出す。雪彦は時間はたっぷり持っているからどんなに長
い手紙でも大丈夫。読んでもらえればそれでいい。以前のように返
事は期待しない。

表サイドでの仕事は理性で進める。そのためには裏の感情も整理し
ないと表に影響する。要さんに会ってよかった。少しは正気に返っ
た気がする。エロティックな読み物を期待している読者の方には残
念な思いをさせるかも。表あっての裏ですものね。でも、大丈夫。
仕事が上手くいったらエロエロ度はよりパワーアップすること間違
いなし。って何を言ってるんだか。

それとは別に、頭の中にちらちら浮かんで消えないもの、それは雪
彦の尖った舌先。オナニーしながらも(することはしてる)機械は
繊細さに欠けるぜ、なんて舌打ちしたい気分。ああ、会いに行きた
い。そして愛に生きたい。いや、じゅうぶんそうしているつもり。

異性の舌先に依存するって話、あったよな。そうだ、村上龍の「コ
インロッカー・ベイビーズ」でキクがアネモネの舌に金網ごしにキ
スするんだ。あのキスシーンは最高。この小説何度読んだことか。
村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」とこ
の小説、どちらをマイ・ファイバリット・ノベルに揚げるか悩むと
ころ。でもそれは第二位の話。第一位は他にある。それは内緒。山
田詠美や田口ランディじゃないよ。もっと古い小説です。

ああ、手が追いつかない。光速でおしゃべりしたい。超能力で書き
たい。スプーンを曲げるように文章書きたい。

いっずみちーん。メモありがとー。英知があなたと共にありますよ
うに。本当のいい女はね、いつでも悪い女になれるんだよ。いくら
愛の名のもとであっても甘やかしちゃだめだよね。「腐れ縁」より、
いー具合に発酵した床下の隠し酒のような関係を目指そう!

ジェリーさんの彼はやるなー。いいなー。120分テープ20本か
あ。すごいなあ。愚痴=げろの話はまた改めて書く。ってまた書く
んかい! えらいもんにたとえちゃったよわたしも。

フラちゃんもいい具合に発酵しておいしい白カビのチーズみたいに
なって下さーい。青カビでもいいよー。喜んで食べるよー。

ああ、頭が春だ。浮かれてる。

用事をすまさなきゃ。午後は短い。

ではまた。

月子

2002/03/10(日) こんなにも、つづけて会える都合よく。味方してるは天使か悪魔か。

月子、こころの短歌。なんちって。

いずみちんの日記を読んでたら思い出した。ムーしゃんとのつき合
い始めの頃、何だかあまりに都合よく何度も会えたんで、うれしい
ような空恐ろしいような気持ちになった時、そう思った。

いずみちんも気をつけて楽しんでちょうだいませ。実際具体的な浮
気の証拠を押さえられなくても、自分の女がふわふわと恋のオーラ
を出していたらそしてそれが自分に向けられていなかったら、夫で
なくても嫉妬の念にかられるでしょう。心配なのは暴力ね。手をあ
げるほうにその気はなくても、お母さんがけがをしたらそれだけで
子供は傷つくと思う。

でもいずみちんは大丈夫な気がする。なんとなくだけど。

「黒いままがいいです」

雪彦もそういう。髪の色。自分はカラーリングしてるくせに。なん
かぱあっとした気分になりたくて、と今は金髪に近い栗色。どうし
ようかなあ。男うけを考えて、黒いままにするか、わたしだってぱ
あっとした気分になりたいんだよと、思い切って明るい色にするか、
迷ってる。自分でストレート・パーマしてから2週間たつし。

でも結局、最初に会った時の髪型が一番いいと言う雪彦。のばしっ
ぱなしのぼっさり頭なんだけどね。時間かかるよ、と言ったが「そ
れでもいいからのばして下さい」との事。雪彦とも、ムーしゃんと
のつきあいみたいに長く続けることになるのだろうか。一応伸ばし
ていくつもりでいるが。

美容室で長さをどうするかという話をしていた時、「伸ばして欲し
いと言われてるので」と言ったら、「旦那さんに?」と聞かれた。
「そうです」と答えたがもちろん「うそだぴょん」。

髪の毛といえば思い出すのは、要さんの頭髪だ。髪質は完璧。つや
つやさらさらストレート。いつもピッカリ天使の輪。なのに髪型は、
ひどい。ゲゲゲの鬼太郎そっくり。長くなると自分で適当に切るの
だそうだ。無頓着にも程があるが似合うといえば似合う。

要さんが、コンディショナーだのヘアマニキュアだの使っていると
はとうてい思えないから、ああいう髪質の人は放っておいてもああ
いうさらさらつるりの髪質なんだ、と思うと手間ひまかけるのが馬
鹿らしくなる。雪彦の言う通りわたしには伸ばしっぱなしのぼっさ
り頭が似合うのさ。早く伸びろ髪の毛。

先日は、要さんの頭に白髪を1本発見。白髪は何故かくせ毛だった。

今雪彦に手紙を書いている途中だが、日記の独り言モードにすっか
り慣れ過ぎて前のように書けない。あとメールで文章を短くまとめ
る習慣もついてて何だか文章が素っ気ない風になってしまう。キイ
ボード使うのやめて手書きにしようかな。

でも今、気に入った便箋がない。買いに行くのも面倒だ。バイトで
6時間働いて帰ってきたところだし、財布にも金はない。日曜だか
ら銀行は手数料がかかる。わ、だいたいもう6時回ってるじゃない
か。気がつかなかった。外は真っ暗だ。何か食べよう。

……わんわんの友人が差入れてくれたカップめんに水菜とたまごを
入れて食べました。わんわんはビール飲んでます。さて、手紙の続
きを書くとしようぞ。

今日は体調もよく、どっさりたらみが出ていい感じ。

今わたし、「高潮期」だし。

寺門琢己、という人の本に書いてあるのだけど[低潮期/高潮期]っ
てやっぱりあるね。骨盤は2週間周期で開いたり閉じたりしていて、
女性の場合は排卵から次の月経が始まるまでが開いていく「低潮
期」、月経から排卵日に向かう2週間が閉じていく「高潮期」。男
性も月経こそないけど、「低潮期」は精子の数が少ないとか、同じ
ように2週間周期で変化しているらしい。この人の本、面白いです。
勉強になる。田口ランディさんとの対談本も出している。

あっそーだ。ジェリイさんの日記。

テープ録音! その手があったかー、という感じ。テレフォン・セ
ックスは抵抗があってできないけど、セックス・パートナーの可愛
い喘ぎ声が聞きた~い! という時にぴったりじゃないすか。録音
かあ。いいなあ。ビデオよりは露骨じゃないし、録るの簡単だし。
写真みたいに現像焼き付けする手間もない。今度挑戦してみよう。

写真といえば例のフィルム、あと1枚で撮りおわる。

ヤギさん久しぶりのメモありがとございました。うれしかったです。

ゆめじさんの「猫とあたしのマスターベーション!」よかったです。
わたしも読んでてネコちゃんになった気分。快感のあまりのたうち
まわりたーい! けだものみたいに叫びたーい! 春だもーん!

ろーりーさんも、コマジュンさんも、仕事の合間を縫って日記の更
新。男性の日記が少ないのは、やはりそれだけ自由になる時間が少
ないからなのでしょうか。こうなったら、おぎーのさん、体調整え
てじゃんじゃん書いてねーって調子よくなったら仕事再開してやっ
ぱり自由になる時間少なくなったりして。日記はさておきゆっくり
休養して下さい。

ただいまのMy日記登録40名。減ったり増えたりしてましたが、
この一週間はぴたりと変化がありません。40人といえば1学級分
の人数かあ。わたしの子供時代はまだプリントと言えば謄写版印刷
が主流だったよ。じゃあ、ガリ切ったことある人手をあげて~。は
ーい、というのはこのうちの半分くらいかな。

しばらくはこんな調子でしょう。これからもよろしく。

ではまた。

月子
Mail to:hdakanotuki@lycos.jp

2002/03/09(土) ぼうっとしてると常に雪彦のことを考えているんだよなあ、まるでスクリーンセーバーのように……。

今朝、要さんの所から帰ってきて帽子も取らず服も脱がずそのまま

布団に入って寝てしまった。30過ぎると徹夜はキツイぜ。

友人(男)の事を要さんと呼ぶ事にしました。わたしの人生にとっ
てはかなめとなる重要人物だと改めて実感。

要さんはまた新しい事を始めようとしている。

彼の生き方を真似するなんて出来ないが、こんなすごい人と知り合
えたのはわたしの人生にとって大きな意味があるからありがたく思
う。恥ずかしくないようにしっかり生きたい。要さんをがっかりさ
せたくない。

こう書くと、要さんがすごく真面目なお方みたいだな。まるで宗教
家のよう。実際は、破天荒な人なのです。型破りの。妻となった人
は大変だ(二代目彼女)。当然誤解されて敵も多いと思われる。

さて、現在、土曜の夜。ムーしゃんもつかまらずわんわんも出かけ
ている。雪彦に電話したら寝ていた。おこしちゃってごめん。ちょ
っとだけ話してすぐ切った。今日は昼にも電話してるのだ。

しゃあない、日記でも書くか。

最近、歩いてなかったので、要さんの家へ行く際、最寄駅ではなく、
30分ぐらい歩く私鉄の駅へ向かった。ケーキ持って。まだまだ寒
いけれど歩いているうちに暖かくなってきた。歩くのは気持ちいい。

切符を買おうとすると財布がない。うちに忘れてきたのだ。

30分かけて引き返す。要さんに遅れると電話。「オッケー!」と
言われる。歩いて7分の最寄駅を使おうと思ったが、何だかくやし
いので、再び30分かけて私鉄の駅へ。歩いた歩いた。ケーキ持っ
て1時間半も。お腹がへったのでエクレアを出してひとつ食う。

モカ味だった。うまかった。わんわんの友達よありがとう。ちなみ
にその方はS学会。

要さんの住むマンションへ着いたのは11時。ブザーを押したのに
反応無し。ドアノブを回してみる。鍵がかかってる。部屋の電気は
ついているが静かだ。要さんは在宅時には常に音楽をかけている。
話し声もしない。

マンションの階段に腰掛けて本を読みながら待つ。多分、メシだ。
しかし携帯電話を持たないので公衆電話のあるところまで行かなき
ゃならないのは面倒だ。それにテレフォンカードすら持っていない。
財布には帰りの電車賃のみ。

1時間待った。寒さがしみてきた。

もうひとりお手伝いに呼ばれた人が12時に現れた。その方の携帯
から電話をしてもらうが繋がらない。どうしたんでしょうね、と要
さんの噂をしているうちに戻ってきた。やっぱりメシだった。

「電話してくれりゃいいのに」

それもそうなんですけどね。待つのはいやじゃない。読む本もあっ
たし。徳間から出たさくらももこの新刊。妹が貸してくれた。サバ
バルスクールの章が身にしみた。「こたつ、こたつ~」といいな
がら部屋の中へ。お茶飲んでケーキ食べてから仕事。

総勢5人で取り掛かって3時前には終了。電車の始発まで、コーヒ
ーなど飲みながらおしゃべり。最後は眠くてもうろうとしてきたが、
楽しかった。夜更かしは好きだ。酒は飲まずに和菓子を食べた。

朝帰りで昼過ぎまで寝て、2時くらいに起きてメールチェック。

雪彦から1通。あ、また発作だって。仕事はとりあえずなんとかな
ったようだがえらく消耗したらしい。寝ているかもしれないから、
迷ったが、電話した。メールの文章を考えるのが面倒だったので。

すぐ出た。元気な声だ。寝てなくてハイになっていると言う。

仕事はどうにもならないなりに、まあ見通しがついて、続きの作業
を寝ずにやっていると言う。この2日間で2時間くらいしか寝てな
いらしい。外出から戻ってすぐにトイレで吐いたが何もでない、っ
てメシも食ってないのか。しょうもな。

2時間ほど話した。そのあとわたしは用事があったので出かけた。

先程戻ってきてメールチェック。雪彦から1通。テディベア届いた
という。なぜか女言葉。電話したが寝てたのですぐ切った。

常に、心のB面で雪彦のことを考えている。オート・リピートだ。

要さんたちと会って、楽しく過ごしている間もだ。よく考えたら、
雪彦と要さんは何度か会ってる。きっと要さんの雪彦に対する評価
は低いんだろうな、なんて想像すると妙にあせる気持ちになる。わ
たしがどうこうできる問題でもないのだが。

昼間の電話では主に雪彦の愚痴を聞いた。彼も愚痴と知りながら言っ
ている。「すみません、こんな話で」と恐縮していたが、吐き出さ
ないとつらいしね。心に溜めたままでは苦しい。

でも、愚痴は愚痴だ。しょうもないものだ。やたら人様にもらすも
のではない。愚痴しか出ないようになっては人間おしまいとわたし
は思う。面白い人がわたしは好きなのさ。

ムーしゃんは無口なのが時々物足りないが、愚痴もほとんど言わな
いところはすごいなあと思う。弱音はたまに吐く。

わんわんの場合、酔うとおしゃべりが止まらなくなる。愚痴ではな
いが、怒ったり、泣いたり、笑ったり、叫んだりと、感情の起伏が
激しい。最初の頃はあわてたものだが、もう慣れた。

愚痴は汚物といっしょである。げろだ。

連れが、気分が悪くなってげろを吐いたら介抱するが、見ず知らず
の方がげろを吐いていても、よっぽど異常な様子でなければ見てみ
ぬふりをすると思う。ましてや酔っ払いだったら放っておかれるだ
ろう。自分で何とかしなきゃならん。

この世には、げろをげろと思わず他人に吐きかける人がいるのだよ。

自分にとっては自分の中から出てきたものだから、それ程違和感な
いのだろうが、聞かされるほうはたまらねえ。でもって、吐き出し
た当人はすっきりした顔しちゃってたりする。

傷の舐めあい、もしょうもないが、げろの吐き合いもかなりひどい。

人の悪口をいいあって、ストレス解消する、という方法はあるが、
第三者から見るとやっぱり、いやーな感じはするよね。なるべくな
ら悪口なんて言わずにすませたい。誰かをおとしめることで自分を
確認するのはあまりスマートとは言えないもの。

しかし何かにつけ、げろを吐く雪彦。強くなれ。せめて今より。

電話の最後のほう、

「ぼくはしつこいですから、だめだと思ったら見捨ててください」

なんて小さな声で言う。

「仕事はどうあれ雪彦くんのことは雪彦くんのことで好きだから」

と言うとますます小さな声になって「じゃあ」と電話を切った。
「あまり長くなってもいけないから……」と。ありゃ泣いてたぞ。
そしてわたしももらい泣き。ほんのちょっとね。流されちゃいかん。

要さんも嘆くことはある。でも彼はやる。成し遂げる。

要さんはわたしよりひとつ年下だけど、最初に会った時から苗字に
さんづけで呼んでいた。これからもずっとそうだろう。彼に会うと
わたしはパワーをもらう。その破天荒ぶりにかえって元気づけられ
る。破れかぶれパワーだ。時々自分をもてあましてさえいる。

それは雪彦も同じか。自分をもてあましている。彼は負のパワーに
引きこまれやすい。いとも簡単に侵食されてしまう。捕食者に囲ま
れた草食動物のようにおびえながら暮らしている。街を歩く人や、
テレビの音から危険信号を過敏に察知する。誤報にさえもいちいち
飛び上がる。あれじゃ心が休まらないよな。

それでいて、いや、だからこそ、かもしれないけど、可愛らしいも
のが好きで、生まれ変わるなら絶対女がいいと言っている。それは
わたしもそうかもな。女はいいよ。男はつらいよ

(あそうだ、フラメンコさん。ペットショップレポート面白かった。
いいもの見たね。わたしも雪彦もペットショップ見るの大好き。)

「すごいちゃんとしたテディだわ。ありがとう」

雪彦のメール。抱いて寝てくれるかしら。箱に入れる前、キスして
「可愛がってもらうんだよ」と念をこめた。これはたくさん作った
中でも特に力を入れた自信作だ。まさか男にあげる事になるとは思
ってもみなかったが、雪彦ならいいや。

パリ夫くんが渡仏するときも10センチくらいのテディを作ったの
だが渡す機会を逃しまだ手元にある。今年の誕生日にでも送ろうか。
パリ夫くんは乙女座の男。ちなみにムーしゃんも乙女座。あ、要さ
んも乙女座だ。わんわんは射手座。雪彦は蠍座。刃君は獅子座。

わたしは水瓶座。汲めども尽きぬ言葉の泉? げろにならないよう
に気をつけようっと。グチがゲロならさしずめノロケはヨダレか。

わんわん帰宅。最近は酒を控え気味にしている。えらいえらい。

本当はテディに手紙をそえて送りたかったが、時間をかけて書きた
かったので後回しにした。明日にでも書こう。

本当は、会って、抱いていたい。

仕方ない。みなひとりでも戦っているのだ。

雪彦、戦士。生きろ。

また書きます。

月子
Mail to:hadakanotuki@lycos.jp