2002/10/14(月) ボディ・バターのマンゴーは、

“桃缶”の匂いだそうだ。

プチサンボンの匂いをさせた男がそう言った。

久しぶりにパソコンで文章書こうと思ったらファンの音が耳障りでさ、気が散って書けねえでやんの。冷蔵庫の音が気になって眠れないのに似ている。これも贅沢病なんでしょうかね。

Y君の見舞いに行った。歯科大学附属病院からは大阪の夜景が美しく見下ろせた。前日に手術をうけたばかりであごに大きなテープを貼っていて「しゃべるとえずく」と動かない口を少しだけ開いてそれでもしゃべろうとするY君には新品のパジャマがよく似合っていたが彼女が買ってきたのだろうか。左の頬が腫れて痛々しかった。ベッドの上に腰かけ手にしたタオルでしょっちゅう額をぬぐっていた。彼女を紹介された。五分かそこらで退室する。「どうですか調子は?」って顔を見るなり聞かれたっけな。けんかであごの骨を折り入院する半月ほど前にも電話をくれんだった。「だめですよ元気出さなきゃ」と。彼女の手前、話題にできなかったがわたしがはいて行ったスカートは去年の冬Y君に編んで送ったセーターの残り毛糸を使って作ったものだ。目線が留まってた。気づいただろうか。受付時間を過ぎた病院には人気がなく、その夜がらんとした廊下を駆けずり回る夢を見た。

文庫本を読んで眠ろう。冷却ファンうるさい。