2002/09/22(日) 昼寝のつもりがまじ寝。

暗くなっている。時計を見ると11時。枕もとのは1時間進めてあるから10時か。ナイトフリーマーケット、行くつもりだったけどあれ10時半までだったよな。寝過ごした。車がアスファルトの水をはじいて走っている。雨になったんだ。洗面台に立って軽く歯をみがく。

あれ? 腕時計6時半だって。さっきの時計はさかさまだったか。ふたつとなりの駅まで自転車でいくつもりだった。パンクの修理もしてないや。どうでもいいような夢を見ていた。メールチェックする。0通。電話したいな。まだ7時だ。フリーマーケットには行く気分じゃないな。鏡見たら変な顔してた。夜中に起きてしまった子供みたいな。あまり元気じゃないみたい。

昼に行った回り寿司屋は変だった。奥に細長い店の敷地の真中にトイレのスペースがデンと張り出していてその左右に小さなレーンがそれぞれひとつづつある。その二つのレーンは独立している。すいていて片方しか回していなかった。10人も座ったら満席の回転すしごっこみたいな小さすぎるレーンだ。中に板さんがひとり。「ただいまお好みタイムです」という札が回っている。誰かが注文をする。板さんにぎる。へただ。誰かが注文する。板さん聴き返す。今のはどう考えても聞き取れるだろうよ一発で。聞こえてるはずだ。なぜ聴き返す。きっと習慣なんだ。店内にはしらじらしく若者むけのBGMが有線放送で流れている。板さんが手元におきっぱなしのプラスチック容器には思いっきりメイドインカナダと英語で書かれている。フローズンサーモンIKURAと。

百円寿司にそこまで期待があるわけじゃない。カナダ産のいくら結構。でも気分てもんがあるでしょ。味噌汁いかがですかと声をかける女性店員のタイミングもかなりはずしてる。だいたいこのレーンのサイズでは全員の客に手渡せる距離でありながら注文した客の180度向こうに乗せて回すのは不自然である。この店オープンしたては確か一皿120円だった。客が入らなくて下げたのか。いくら3連休の中日とはいえ日曜の昼時にこれほどがらがらじゃまずいでしょ。家人と「疲れたね」「つぶれるのは時間の問題だね」と言い合いながら歩いて帰った。あんな風にしか設計できないのなら寿司屋にすることじたいが間違っている。悲しい店だった。

板さんのことをえらそうに下手と評価したのは握り方もさることながらその接客態度だ。いや握り方もよろしくなかった。えんがわにわけぎをちょいちょいと乗せる。そこでさっと出さず、ほんのちょっと手元にホールドし、わけぎを申し訳程度追加する。意味あんのか。いったん皿においた寿司を何が気に入らないのか15度ほど角度を変えておき直す。微妙。いったん皿においた寿司を何が気に入らないのか180度角度を変えておき直す。それでも気に入らないのか更に180度角度を変えて置きなおす。同じじゃん。そう思って板さんの手元をずっと見ているとつっこみどころ満載だった。しゃりの量も一発で決まらないし。だいたい注文のあったネタをまな板の上に「ピシャッ」って置くのがまったく美味そうじゃないんだよな。ピシャッていうか「ベチャッ」って感じ。言葉使いもねひとこと多い感じで、いいわけが得意そうだったな。注文は聴き直す、寿司は置き直す。いっしょに仕事したくないタイプ。まさか店のオーナーじゃないだろうな。

だったらいっそ見えないほうがいいと思うのね握ってるところ。寿司ロボットに握らせてバイトがネタを乗せるだけ、そういう安寿司もあることだし。うちの住んでる近所には一皿120円でネタもうまくて活気もあっておいしい回り寿司屋があるからここにはもう行かないだろう。たかが回り寿司とはいえ気分よく食べたいもん。

やっぱしね作る人の気が入るのよ食べ物には。それもいっしょに食べて元気になるんだよ。飲食店だったら、おいしく食べてもらおう気分よく食べてもらおう、という心配りが必要でそれは過剰にサービスすることじゃなくて、適度な雑さも時には必要なのね。放って置かれるほうがいい場合もあるし。気の利かせどころというものはあるんだす。

わびしい気分で昼寝から覚めたら夜だった。さてこれからどうしようかな。