2002/08/06(火) ②7月31日、夜ゆかたを着て縁日へ行く。

住吉大社で3日間に渡って開かれる夏祭りの中日だった。大通りをさけ住宅街に入るとまたいつもの場所で道を間違え来た道に戻ってしまう。ゆかたを着ていたせいかそこらの住人に今日はどこで縁日があるのですかと聞かれる。「パルテノン神殿か」金持ち風のお屋敷を指してTが言う。

祭り会場の手前の酒屋でビールを買いTのリュックへ。保冷剤と一緒にタオルにくるむ。保冷剤はわたしがもし発熱してもいいようにとTの部屋に着いた時、仕送り物資の入った箱の中から出して小さな冷凍庫に入れておいたものだった。前日にも友人と祭へ行ったTは前もって買っておいて生ぬるくなったビールを飲んだのだという。「所持金を気にせず屋台で高いビールを買えるようにならねばね」とT。

自転車が増え辻々に警備員が立ち子供がカキ氷を持って走りゆかたの娘たちがたむろし他県ナンバーの車が立ち往生している。(相模って…)自転車を止め裏側の鳥居から歩いて入る。おお、すごい人出だ。「こっち」。大きなしめ縄の輪があってそこをくぐるのだという。なにやら歌を唱えながらくぐれと書いてある。「千歳のよわい」が延びるんだってさ。「それは困る、早死にしたいのに」なんて言いながら境内へ。10円玉は「遠縁」でよくないからと財布を捜すが二人とも五円玉がない。「五百円しかない」というと百円玉をくれた。僕は昨日参ったからひとりでどうぞと。賽銭箱に投げて仕事がうまくいくように祈る。

縁日なんて久しぶりだ。狭い道の両側に屋台が軒を連ね人でぎっしりだ。ふと人が途切れると夜風が通り抜けてほっとする。T水笛500円、わたし花火50円を購入。何が食べたいか聞かれるので「たこせん」と答えると「たこせん」はないけど「玉子せんべい」ならあると言う。昨日はあれだった、と「100円お好み焼」の屋台を指す。月子さんあれは? と指したのは「チーズボール」。うんいかにもわたしが好きそうな。玉子せんべい200円を作ってもらってる間Tがそれを買ってくる。4個で300円。ちと高い。Tがフランクフルトを買いに行くというので左手に玉子せんべい右手にチーズボールを持って「ひよこ釣り」を見ていたらいつまでたっても戻ってこない。「はぐれたらココに集合ね」と言われた場所もどう行ったらいいのかわからず途方にくれてゴミ捨て場の横でじっと待つ。心細い。4歳なら泣いてたね。5歳ならぐっとがまんしたね。半熟の目玉焼きの熱でせんべいがふにゃふにゃになった頃Tが見つけに来てくれた。いったん集合場所に行ったようだ。

たこせんにはソースが塗りつけてあってそこに揚げ玉がふりかけてあって真中に目玉焼きが乗っている。見るのも食べるのもはじめてだった。「女子中学生の食い物ですよ」と言われる。ゆかたに黄身を垂らさないように気をつけて食べる。駄菓子な味。ビールと良く合う。一口くれとTが言う。白身のところをTにも分ける。チーズボールは爪楊枝が刺さっててまわりがアメリカンドッグみたいな甘い皮でいまいち。でも気持ちがうれしかったしまだ食欲が回復しきってなかったからこれくらいでちょうどいい。ビールも350ミリリットル。Tはロング缶。フランクフルトもからしをつけて何口か食べる。TはDATを取出して祭囃子をひとしきり録音。食べ終わって表へ回って演奏してるところを見た。大太鼓が七、八歳の男の子でぐっと来る。あとは鉦がふたり。踊り手がふたり。平野だんじり保存会と書いてあった。トランス系のゆるくて奇妙な踊り。「帰ったら100%コピーして踊ってあげますよ」だってさ。(実際踊ってくれた)

Tが「みかん飴」を買いたいというのでまた屋台の方へ戻る。お笑いお化け屋敷、なんとか迷路、うなぎ釣り、くじ、型抜き、飴細工、タコ焼き、イカ焼き、焼き鳥(でかい串!)、焼きとうもろこし、水あめ、カルメ焼き、金魚すくい、スーパーボールすくい、光る団扇、レインボードリンク?(長ーい容器に入ってる) 等々。

見慣れないものも見慣れたものもたくさんあったけど、これほどの人波にもまれながら屋台を見るのは規模は違えど小さい時、浅草の三社祭に連れて行かれて以来じゃないだろうか。本堂への門が閉まる時刻にはずいぶん人が空いて来た。太鼓橋を渡って帰路に着く。途中コンビニに寄って花火情報を仕入れる。小腹がへったと言うTは海苔巻を買っていた。

二人乗りで部屋に戻り交替でシャワーを浴び冷たいお茶を飲む。さすがに汗をびっしょりかいたが(特に帯のところ)発熱してもほどんど汗をかかず苦しかったのでむしろすっきりといい気分だった。みかん飴を食べたTは舌が真っ赤だ。こぼれた飴は交通事故現場に落ちてるテールランプの欠片にそっくり。翌日の予定を立て眠気の限界までおしゃべりをしてから枕を並べて眠った。

つづく。