2002/05/18(土) 女三人酒飲んでおしゃべりしながら魚肉ソーセージ丸かじり。一人当て一本。

Fちゃんは確かわたしがライコスで日記を書き始めて、初めてメモを送った相手じゃなかっただろうか。

Fちゃんと会うのは2度目、4月のゴールデンウィークの初日にOさんを交えて3人で食事したのが最初。人通りの多い表参道の待ち合わせ場所で、白のスプリングコートを着て立っているFちゃん、かっこいい姉さんや~。自分じゃ「ちびまる子ちゃん」風になってしまったとお会いする数日前の日記でへこんでた髪型も、明るすぎた失敗、と書いていたカラーリングも、さばさばしておしゃべりの楽しいFちゃんにぴったりだと思った。Fちゃん、素敵~。「べっぴんさん」という称号を彼女に与えたい。

雨の金曜日、Jちゃんと待ち合わせてFちゃん家に向かう。

Jちゃんと会うのは三度目。何だかしょっちゅう会ってるね? わたしたち、と空いてる電車の座席に並んで座って笑い合う。ちなみに彼女の称号は「ミス・酒豪」である。

Jちゃんの日記に「小龍包」の詳しい作り方が書かれていたのが今回の集まりの発端だ。お互いのゲストブックに食べた~い、作りに来て~、行くよ~ん、などとやりとりしていたのがついに実現。会おうと思えば会えるのは、住んでいる場所がわりあい近かったということもあるし、三人とも自分の時間が自由になる暮らしぶりだということもあるけれど、やっぱりお互いの日記を読んで親近感が高まっていたということははずせない要因だろうと思う。

日記は、単に毎日の出来事が書かれている、というだけのものではない。

その人が、何を見て何を書くのか、どう書くのかというところに、その人らしさが現れるのだ。フォーカス(視点)、カメラワーク(視線)、編集(何をすくい取り何を捨てるのか)、一日中回しっぱなしのダラ撮りフィルムをどんな作品に仕上げるのか。単なる個人日記であっても、一人一人が脚本家でありカメラマンであり監督でありプロデューサーなのだ。そして出演者を選ぶのも。

たとえ個人日記でも、常に自分が主人公とは限らない。

常に自分が主人公という日記の書き手もいますが。セルフポートレイトのようなものですね。いやむしろ、そっちの方が多いのかな? それはそれで構いませんけれど。個人日記なんですから。日記なんですから。

最寄駅に到着し、Jちゃんが携帯電話から連絡。程なく雨の中を傘さして、走って現れるFちゃん。ふたりが会うのは今日がはじめてだ。違和感がないのは不思議なような、当然のような。これは日記のキャラクターと本人が近いからなのか。それも不思議なような、当然のような。とにかく日記って、そして文章って、その人が出るんだな。

駅前のスーパーマーケットで軽く食料を買い込み、途中のコンビニエンスストアで酒を調達。カロリーオフの発泡酒をJちゃんに「これ位? こんなもん?」と聞きながら次々カゴに放り込むわたしを見て、Fちゃん、

「ええっ? こんなに飲むの!? ホントに? ホントに?」。

驚くには及ばない。これくらいJちゃんにかかれば軽く空いてしまうのだ。ホントに。レジのお兄さん五千円の預かりを五万円と打ってしまいレシートを慌てて握りつぶす。だ~め~よ~。それは後で割り勘にする時必要なんだから。Fちゃん「それ、下さい」と丸めたレシートを出させる。

あとで日記に「気を使わせてごめんよ」と書いていたFちゃんだけど、一番気疲れしてたのはFちゃん家の猫かもしれない。また遊びにいくから今度は少し慣れておくれよ、シャール君。

気のきくJちゃんは初対面のFちゃんのみならず、猫ちゃんにまでお土産持参であった。一頭身のひよこ(?)が紐の先についたおもちゃ。棒の先に鈴がついてる。

「チリンチリンだって!」

で笑い転げる。完全なる内輪受け。こういう些細なことが無性に楽しいのだ。

件の小龍包を「うっかり家に置いてきちゃったの~」というJちゃん。「シュークリームもなの~」と言う。そりゃあ残念。でもそれ以外でも三人で食べきれないほどたっぷりのおつまみがあった。大根餅、韮饅頭、棒餃子、普通の餃子、それから太巻き。どれもおいしかった。「Iちゃんがレシピの差入れをしてくれるって」。Iちゃんは残念ながら遠方だ。それはそれで仕方のないことなんだよね。

きっとこんな話は羨ましがられるだろう。でも、「いいないいな」とか書かれても何とも返しようがないよね。「楽しそうだな」。ハイ楽しかったです。でも人を羨ましがるヒマがあったら、自分で楽しいこと見つけましょうね。

と、「道徳の先生」みたいなこと、言ってみたりして。ん? そんな先生はいなかったか。ははは。わたしの中にあるのよね、「道徳の先生」モードというのがさ。よけいなお世話だろうなと思いつつも説教臭く誰かに語りかけてしまうのさ。

Jちゃんの話は相変わらずインパクトと説得力があるし、Fちゃんの手振り身振りを交えた話っぷりも楽しくて面白い。

猫に「ごめんね~そこ通るよ~」と声を掛けながらトイレに立ったJちゃん、戻ってくる時トイレのスリッパを履いて来てしまった。笑い。Fちゃんが「気にしないでわたしもよくやる」と言い「ごめ~ん」とトイレに戻るJちゃん、猫の皿をひっくりかえしてしまう。床に飛び散るキャットフード。笑い。笑いすぎて今度はわたしがテーブルの上に乗っていたおせんべいをひっくり返してしまう。笑い。みんな酔払ってハイになってる。

前回の逢瀬が「同窓会」とすれば、今回は「放課後」という感じか。

授業を終え、ランドセル放り出し、誰かん家でお菓子頬張りながらおしゃべり。そしてしゃべりすぎてどんどんハイになっていく。でもって「授業」とは女三人がそれぞれ体張って生きてきた実人生だ。いろんな目にあって、いろんな思いしてきて、いろんなもの見てきたから、話せる。それが暗く重たくならないで笑いにまみれながら話せるというのは、幸福なことだ。

日記読んでたから、お互いがそういう相手なのだということがわかる。了解事項がわたしたちの気心を通わせる。「う~ん、わかってらっしゃる。」という感じ、わかりますかね?

気がつけば話し込んで電車の時間がせまっていたの。あわてて家を出る。おっと割り勘にするのを忘れないように。また飲み代踏み倒しちまうところだったぜ。「やっぱり外で飲むより安い~」とJちゃん。金のない学生時代、よく誰かん家が溜まり場になってたよね。次はこうしようか、ああしようかと話しながら雨の中を駅まで縦一列になって歩く。

そりゃそうとわたしたち、プリンを食べるのを忘れてた!

月子

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