2002/05/06(月) 『On The Slow Boat To China』

まだ日の高いうちにやることをすませ、庭に椅子を出してワインとお菓子で今日の一日を祝福。

全自動洗濯機の上蓋にのせていたコップを、くぼみにはめて倒してしまう。ん? 酔払ってる? かもね。まあいいじゃん。家人はお出かけ。そこらへんにあったタオルでぬぐって小麦粉の揚げ菓子をつまむ。ナボコフの「ロリータ」を再読。このハンバート・ハンバートって主人公、どうしても最近知り合った男性を思い出しちゃう。年の頃も同じくらい? まあ、わたしの勝手な思い込みだと思うけど。

家人は時折音楽に過剰反応を示すので、普段あまり生活にBGMを用いないようになっているのだけれど、(一人暮しのときは不可欠だった、音楽)最近、愛読しているWeb日記に度々登場してくる憂歌団が聞きたくてカセットテープの箱を漁る。確かあったんだよねうちにも、生聞59分。別れた男に借りたCDからダビングしたやつ。ああ、どうしてもコマちゃんとアイツの面影が重なってしまうな。だってなんだか似てるんだもん、身長と横幅の具合が。

目的のテープは発見できず、スローボート・トウ・チャイナを再生する。これ、アルバムタイトルなのかな? 憂歌団? 木村さんのソロ? わかんないや、まあ聞いてみよう。この曲を、わたしがライブでカヴァーしたくて男にダビングしてもらったものだ、多分。On The Slow Boat To China。中国行きのスローボート。小説のタイトルにもなってたね。

スローボートは貨物船のことらしい。中国行きの豪華客船になら乗ったことがある。このテープをダビングしてくれた男に出会う前、七年ほど昔の話。3日かけて上海に行って3日間滞在してまた3日かけて帰って来るまことに優雅な旅。一番安い部屋で、四十万くらいしたんじゃないかな。ツアーで。

サンヨーのラジオカセットデッキ。略して「ラジカセ」。いつまで通用するのかラジカセ。磁気テープを再生できる環境はどんどん狭くなっている。わたしは好きだけどね、アナログ・テープの音。

木村氏のざらりと甘くてセクシーな声。今日はちょっと寒いな、外の風は。昨日はワインの後で昼寝して、気がついたら同じように昼寝していた家人の足が目の前にあり、その臭いのせいで妙に複雑な夢を見ていたのだが、セールスの電話で目が覚めて、生々しい夢の記憶はふっとんでしまった。いらねっつの共同墓地なんか。

もらいものの古いラジカセにはオートリヴァース機能などついていないので、A面終了後、手動でB面にひっくり返す。ひきつづき木村氏のヴォーカルをBGMに文庫本のページをめくる。すると、

バンドの練習みたいな音が流れてきた。憂歌団じゃない。なにこれ、もたついたドラムにベースとギターが、二本かな。ヴォーカルはなし。途中に笑い声とか、「じゃいくよ」とか声がはさまってる。Z.Z.トップのカヴァーみたいな、たどたどしいロックンロールだ。三曲ほど入っていた。全部聞いてしまった。

なんだかたまらん気分。

家人はまだ外出から戻らず、ワインも適量を摂取。風も寒くなったので椅子を家の中にしまう。メールチェックすると、遠方の友人から1通。

「泣きモードにならんように。」

今日はもうやることやったし飲んだくれるぞ、とメールを送った返信だ。このお方は、わたしが酔払うと泣いたり暴れたりするのを知っておられる。ありがたきお言葉。でも泣いたりしないわん。今日は、陽気モードで。適量のワインの後は、温かい紅茶でも飲みましょうか

また書くね。

月子

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