2002/03/09(土) ぼうっとしてると常に雪彦のことを考えているんだよなあ、まるでスクリーンセーバーのように……。

今朝、要さんの所から帰ってきて帽子も取らず服も脱がずそのまま

布団に入って寝てしまった。30過ぎると徹夜はキツイぜ。

友人(男)の事を要さんと呼ぶ事にしました。わたしの人生にとっ
てはかなめとなる重要人物だと改めて実感。

要さんはまた新しい事を始めようとしている。

彼の生き方を真似するなんて出来ないが、こんなすごい人と知り合
えたのはわたしの人生にとって大きな意味があるからありがたく思
う。恥ずかしくないようにしっかり生きたい。要さんをがっかりさ
せたくない。

こう書くと、要さんがすごく真面目なお方みたいだな。まるで宗教
家のよう。実際は、破天荒な人なのです。型破りの。妻となった人
は大変だ(二代目彼女)。当然誤解されて敵も多いと思われる。

さて、現在、土曜の夜。ムーしゃんもつかまらずわんわんも出かけ
ている。雪彦に電話したら寝ていた。おこしちゃってごめん。ちょ
っとだけ話してすぐ切った。今日は昼にも電話してるのだ。

しゃあない、日記でも書くか。

最近、歩いてなかったので、要さんの家へ行く際、最寄駅ではなく、
30分ぐらい歩く私鉄の駅へ向かった。ケーキ持って。まだまだ寒
いけれど歩いているうちに暖かくなってきた。歩くのは気持ちいい。

切符を買おうとすると財布がない。うちに忘れてきたのだ。

30分かけて引き返す。要さんに遅れると電話。「オッケー!」と
言われる。歩いて7分の最寄駅を使おうと思ったが、何だかくやし
いので、再び30分かけて私鉄の駅へ。歩いた歩いた。ケーキ持っ
て1時間半も。お腹がへったのでエクレアを出してひとつ食う。

モカ味だった。うまかった。わんわんの友達よありがとう。ちなみ
にその方はS学会。

要さんの住むマンションへ着いたのは11時。ブザーを押したのに
反応無し。ドアノブを回してみる。鍵がかかってる。部屋の電気は
ついているが静かだ。要さんは在宅時には常に音楽をかけている。
話し声もしない。

マンションの階段に腰掛けて本を読みながら待つ。多分、メシだ。
しかし携帯電話を持たないので公衆電話のあるところまで行かなき
ゃならないのは面倒だ。それにテレフォンカードすら持っていない。
財布には帰りの電車賃のみ。

1時間待った。寒さがしみてきた。

もうひとりお手伝いに呼ばれた人が12時に現れた。その方の携帯
から電話をしてもらうが繋がらない。どうしたんでしょうね、と要
さんの噂をしているうちに戻ってきた。やっぱりメシだった。

「電話してくれりゃいいのに」

それもそうなんですけどね。待つのはいやじゃない。読む本もあっ
たし。徳間から出たさくらももこの新刊。妹が貸してくれた。サバ
バルスクールの章が身にしみた。「こたつ、こたつ~」といいな
がら部屋の中へ。お茶飲んでケーキ食べてから仕事。

総勢5人で取り掛かって3時前には終了。電車の始発まで、コーヒ
ーなど飲みながらおしゃべり。最後は眠くてもうろうとしてきたが、
楽しかった。夜更かしは好きだ。酒は飲まずに和菓子を食べた。

朝帰りで昼過ぎまで寝て、2時くらいに起きてメールチェック。

雪彦から1通。あ、また発作だって。仕事はとりあえずなんとかな
ったようだがえらく消耗したらしい。寝ているかもしれないから、
迷ったが、電話した。メールの文章を考えるのが面倒だったので。

すぐ出た。元気な声だ。寝てなくてハイになっていると言う。

仕事はどうにもならないなりに、まあ見通しがついて、続きの作業
を寝ずにやっていると言う。この2日間で2時間くらいしか寝てな
いらしい。外出から戻ってすぐにトイレで吐いたが何もでない、っ
てメシも食ってないのか。しょうもな。

2時間ほど話した。そのあとわたしは用事があったので出かけた。

先程戻ってきてメールチェック。雪彦から1通。テディベア届いた
という。なぜか女言葉。電話したが寝てたのですぐ切った。

常に、心のB面で雪彦のことを考えている。オート・リピートだ。

要さんたちと会って、楽しく過ごしている間もだ。よく考えたら、
雪彦と要さんは何度か会ってる。きっと要さんの雪彦に対する評価
は低いんだろうな、なんて想像すると妙にあせる気持ちになる。わ
たしがどうこうできる問題でもないのだが。

昼間の電話では主に雪彦の愚痴を聞いた。彼も愚痴と知りながら言っ
ている。「すみません、こんな話で」と恐縮していたが、吐き出さ
ないとつらいしね。心に溜めたままでは苦しい。

でも、愚痴は愚痴だ。しょうもないものだ。やたら人様にもらすも
のではない。愚痴しか出ないようになっては人間おしまいとわたし
は思う。面白い人がわたしは好きなのさ。

ムーしゃんは無口なのが時々物足りないが、愚痴もほとんど言わな
いところはすごいなあと思う。弱音はたまに吐く。

わんわんの場合、酔うとおしゃべりが止まらなくなる。愚痴ではな
いが、怒ったり、泣いたり、笑ったり、叫んだりと、感情の起伏が
激しい。最初の頃はあわてたものだが、もう慣れた。

愚痴は汚物といっしょである。げろだ。

連れが、気分が悪くなってげろを吐いたら介抱するが、見ず知らず
の方がげろを吐いていても、よっぽど異常な様子でなければ見てみ
ぬふりをすると思う。ましてや酔っ払いだったら放っておかれるだ
ろう。自分で何とかしなきゃならん。

この世には、げろをげろと思わず他人に吐きかける人がいるのだよ。

自分にとっては自分の中から出てきたものだから、それ程違和感な
いのだろうが、聞かされるほうはたまらねえ。でもって、吐き出し
た当人はすっきりした顔しちゃってたりする。

傷の舐めあい、もしょうもないが、げろの吐き合いもかなりひどい。

人の悪口をいいあって、ストレス解消する、という方法はあるが、
第三者から見るとやっぱり、いやーな感じはするよね。なるべくな
ら悪口なんて言わずにすませたい。誰かをおとしめることで自分を
確認するのはあまりスマートとは言えないもの。

しかし何かにつけ、げろを吐く雪彦。強くなれ。せめて今より。

電話の最後のほう、

「ぼくはしつこいですから、だめだと思ったら見捨ててください」

なんて小さな声で言う。

「仕事はどうあれ雪彦くんのことは雪彦くんのことで好きだから」

と言うとますます小さな声になって「じゃあ」と電話を切った。
「あまり長くなってもいけないから……」と。ありゃ泣いてたぞ。
そしてわたしももらい泣き。ほんのちょっとね。流されちゃいかん。

要さんも嘆くことはある。でも彼はやる。成し遂げる。

要さんはわたしよりひとつ年下だけど、最初に会った時から苗字に
さんづけで呼んでいた。これからもずっとそうだろう。彼に会うと
わたしはパワーをもらう。その破天荒ぶりにかえって元気づけられ
る。破れかぶれパワーだ。時々自分をもてあましてさえいる。

それは雪彦も同じか。自分をもてあましている。彼は負のパワーに
引きこまれやすい。いとも簡単に侵食されてしまう。捕食者に囲ま
れた草食動物のようにおびえながら暮らしている。街を歩く人や、
テレビの音から危険信号を過敏に察知する。誤報にさえもいちいち
飛び上がる。あれじゃ心が休まらないよな。

それでいて、いや、だからこそ、かもしれないけど、可愛らしいも
のが好きで、生まれ変わるなら絶対女がいいと言っている。それは
わたしもそうかもな。女はいいよ。男はつらいよ

(あそうだ、フラメンコさん。ペットショップレポート面白かった。
いいもの見たね。わたしも雪彦もペットショップ見るの大好き。)

「すごいちゃんとしたテディだわ。ありがとう」

雪彦のメール。抱いて寝てくれるかしら。箱に入れる前、キスして
「可愛がってもらうんだよ」と念をこめた。これはたくさん作った
中でも特に力を入れた自信作だ。まさか男にあげる事になるとは思
ってもみなかったが、雪彦ならいいや。

パリ夫くんが渡仏するときも10センチくらいのテディを作ったの
だが渡す機会を逃しまだ手元にある。今年の誕生日にでも送ろうか。
パリ夫くんは乙女座の男。ちなみにムーしゃんも乙女座。あ、要さ
んも乙女座だ。わんわんは射手座。雪彦は蠍座。刃君は獅子座。

わたしは水瓶座。汲めども尽きぬ言葉の泉? げろにならないよう
に気をつけようっと。グチがゲロならさしずめノロケはヨダレか。

わんわん帰宅。最近は酒を控え気味にしている。えらいえらい。

本当はテディに手紙をそえて送りたかったが、時間をかけて書きた
かったので後回しにした。明日にでも書こう。

本当は、会って、抱いていたい。

仕方ない。みなひとりでも戦っているのだ。

雪彦、戦士。生きろ。

また書きます。

月子
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