2002/03/05(火) 「ロリータ」の本名、おじさまの「恋愛論」、貧乏と遠距離、そして「漂流教室」。

みなさま、こんばんは。月子です。

やっぱり日記は夜書くのがしっくりくるねえ。わたしは月子だし。

文庫本引っぱり出すんで、部屋少し片付けてたら去年の夏に書いた
ノートが出てきた。ちょっと見てみる?

……1ヶ月以上間が空いた、久し振りのキスを雪彦君とかわしなが
ら、いつまで夢中でいられるだろう、なんてうすら寒い考えが頭を
よぎる。引のばされた蜜月。スキ、とか大スキ、とか言い合って、
「まさに蜜月」と冷静な発言。……

あはは、今でもじゅうぶん夢中ですがな。相変わらず月子節全開。

……蜜月とはわたしが手紙に書いたKye Word。「月子さん
大好き」と言わせた。言わせたわけじゃないけど。聞けたから、い
いや。やっぱり離れているのがつらくてさ。今回、まだ帰って来た
ばかりだから苦しくなってないけど、そのうち息苦しくなってくる
のかな。7月に、会いに行く前に、この気持ちを「恋」と認定した
ら、ちょっと楽になった。最初からずっときっとそうだったんだけ
どね。……

こんな調子で8月1日から24日まで大学ノートびっしり1冊。読
み返すにも時間がかかるわい。またそのうちゆっくり見よう。へへ。

気になってたロリータの本名は「ドロレス」。たどりつくまで段ボ
ール20箱は開けた。「ベティ・ブルー」「ナインハーフ」「ハー
レムワールド」も同じ箱に入ってた。ついでにスタンダールの「恋
愛論」も出してきたがこれは未読。ブックオフで100円だった。

――恋のいちばん大きな幸福は、愛する女の手を初めて握ることで
ある。「恋愛論」スタンダール

スタンダールおじさま、こんな事言ってますけど、みなさんどう思
いますか。手を握るのがいちばん大きな幸福だって。その先は?
それよりちっちゃな幸福ってこと? 腑に落ちん。まあ昔の人にた
てついてもしょうがないか。これ書いてる時この人、片思い中だっ
たらしいし。あ、ちょうど今のわたしと同じくらいの年で書いてる。
へーえ。おじさまなんて言って悪かったわ。

そうだ、いずみちんメモありがとう。何通でも気の済むまで送って
くだされ。もし300字以内で書ききれなかったらメールでも構い
ましぇん。「ナインハーフ」はエリザベス・マクニールでした。

今いずみちんのゲストブック男女混合でいい感じ。コマジュンさん
の書き込み「姉さん、遊び方がキレイやね」にわたしも1票! コ
マジュンさんの日記『天王寺の男』もそのうちゆっくり読みに行こ
うっと。

しかしビール飲んでキイ打ってると必ずといっていいほどフリーズ
するこのエディタ。何でか。今日の1日を祝ってささやかに祝杯を
上げていると言うのに。頼むよ。

何かいいことあったのかって? 別にいつもと同じ1日です。わん
わんが帰ってきたから庭に猫が3匹来ていたと報告した。雪彦にも
メールで業務連絡だ。

昨日は古い友人が電話をくれたのよ。パリ夫くんより少し後に知り
合ったから、十年くらいになるのかな。妻帯者。3人の子持ち。肉
体関係はなし。おととし、公園で酔ってキスしたことはあるけど、
あたしにしちゃめずらしくそれだけ。四つくらい年上。

十年前ならねー。今でも好きだし敬愛するお方。

画業を営むこの友人、展覧会に使いたいので一昨年わたしが撮った
個展の写真を送ってくれという電話だった。もちろん送りますとも。
ちょうどいいから去年編み上げた深緑のセーターもついでに送ろう。
彼の絵のイメージに合わせた濃緑色の毛糸で模様編みのセーターを
編んだのだ。送るのが面倒で放りっぱなしになっていた。編むのは
面倒じゃないのにね。

去年の今頃は雪彦にセーター編んでたっけな。

手紙だけじゃ物足りなくて、夕焼けが消えて真っ暗になる一歩手前
の夜空のような青い毛糸(←詩人)に白で雪の結晶を編み込み模様
にして。袖が長くなりすぎて2回くらい編み直した。

「僕、腕が長いのでちょうどいいです」

とお礼の電話で言ってたけど、去年の12月に着てるところ見たら、
やっぱり長かった。雨で、外出から戻って着替える時に、「着てる
とこ見せてよ」とリクエストしたのだった。可愛らしかったな。

マフラー1本でも、自分が作ったものを身につけている男を見るの
は可愛いものだ。学生の頃にそういう恋をしてないからね。

3月中に画家の友人の所へ遊びに行こうと思う。雪彦に会いに行っ
てばかりだったからな。たまには別な場所へ旅行しよう。

わたしの日記、3月になってからも、いろんな人が読みに来て下さ
ってるみたい。どうもありがとう。夜だけかと思っていたら、昼間
もけっこうカウンター回ってるんですね。昼下がりのアクセスは主
婦の方とかが多いのだろうか。それとも仕事の合間の息抜き? 何
はともあれウエブだから鮮度第一ですね。鮮度に関しては主婦の目
はきびしいわよね。期待にそうようこれからもがんばりやす。

で、今しがたメールチェックしてみますと雪彦から返信が着いてま
した。仕事が一段落したそうです。そして空腹と。

毎度の事だが仕送りがストップしているらしい。

そこで切り札。

この間、部屋に泊まった時雪彦が寝ている間に、階段のカーペット
の下に封筒に入れた千円札をはさんでおいたのだ。踊り場から数え
て3段目のそこを見るようにメールで指示。ささやかな仕事完成祝
いだ。これでなにか食べてくれ。

10分後に返信。

感動したって。やったー! ギョーザ食べるって。おう、食ってく
れい! こういうゲームみたいの大好きって。わたしも大好きー!
漂流教室みたいって。そうなの? 見てないから知らない。

「やるな月子」

だって。ほめられちゃった、えっへっへ。

空腹メールはきっと来ると踏んでいたのさ。思ったより早かったけ
ど。わたしとしてはスパイごっこの感じ。こんなに受けるなら、も
っと仕込んでくればよかったにゃあ。隠し場所は他にも考えてあっ
たのさ。

「ここ何年かで一番感動した。ドラマチック。」だって。本当かな。
だとしたらなんてドラマの少ない人生だ。それにわたしと出会った
ことより階段の千円のほうが上? とんぼ返りで会いに行ったより
もー? まあいいや。また新たな手を考えて雪彦くんを感動させよ
うっと。予定調和の年中行事もなごむけど、やっぱり人生、意外性
は大事でしょ。

空腹は最高のソースなり、と言うように、遠距離で、会えない時間
も最上の前戯なり、と考えたらいいのだ。

距離も貧困も逆手にとって強く雄々しく生きるのさ。

ほんじゃ、またねえ。

(ほめられてご機嫌)月子

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