2002/03/04(月) セックスしながら首しめられた。冗談だと思うけど。ちょっと他にない気持ちよさだねこれは。

雪彦に。

「もっと強く」とお願いしてしまいそうだった。何だろうあの気の
遠くなるような気持ちよさ。阿部定に殺されちゃった恋人も、あん
な気持ちのよさを味わったのだろうか。だったら死は不幸じゃない。

ハードなSMに取り付かれる人ってそういう境目を味わっているの
かな。本気の力を出されたらどうなるか分からない。取り乱すかも
しれないし、気持ちよさが続くとも限らない。あくまでわたしたち
のは、たわむれだから。子供のごっこ遊びと一緒だから。

それからジェリイさんや、いずみさんのように「手錠」は実現しま
せんでしたが、わたしがしていった木綿のストールを使って手首を
縛ってもらいました。自分からリクエストしたった。2階のロフト
の鉄柵に結わいつけてもらって目はタオルで目隠し。

ちょっとそのタオルはさっき手で出した時に精液を拭いたのと一緒
では? と思いつつ抵抗できずレイプごっこ。雪彦も興が乗って、
「顔に出していい?」とおっしゃる。

やだ。

やだけど抵抗できない。「言うこと聞きなさい。縛られてるんだか
ら」といさめられ、じゃあ今回だけねと約束して雪彦念願の初顔射。
顔、首筋、髪の毛まで精液まみれ。わたしが「目に入った」と騒い
でると「階下にまで飛んでいった」と雪彦。バスタブに湯を溜めて
もらう。

雪彦の部屋にシャンプーとコンディショナーを忘れてきた。あの時
トイレのタンクの上に置いたままになっているはずだ。

会うたびにやせていく雪彦。170センチ以上あるのに50キロそ
こそこ。わたしは155センチ45キロ。ふたり合わせても100
キログラムに満たない。わんわんとわたしでちょうど位か。ムーし
ゃんとだったら余裕で越えちゃうな。

あ、そうださっきね、おぎーのさんの日記のリンクからとんでいっ
てりえさんて方の日記読んだ。とてもよかった。いいものを読ませ
て頂いてありがとう、という感じ。自分のだらしなさが身にしみる
わい。今だけね。もうちょっとこのままいさしてね。

雪彦も無防備だったけど、わたしもついつい酔っぱらっちゃった。

明日はもう帰るという晩、外で飲んでから部屋で飲みなおし。だっ
ウオッカなんてあるんだもん。ロックで飲んだらあっという間に
回ってた。基本的には酒はいけるんであるが感情がもろもろになっ
てやばいんである。30過ぎてからは自分が「酒強い」と思わない
ようにしている、が飲めちゃうから困ることもある。

だって雪彦がヌード撮るからカメラ貸してって、そこまではいいけ
ど野外露出プレイだって張り切って裸のわたしにコート着せて連れ
出すんだもん。彼も酔ってるから強引で、前にムーしゃんにも非常
階段で裸撮られたって話してるので、絶対やだとも言えず、マンシ
ョンの階段と3階のユーティリティ・ルームでフラッシュたいて撮
られた。

で、部屋に戻って泣いてんの。「そんなにやだったの?」と雪彦を
あわてさせた。コートのまま布団に潜っていると雪彦が階下でコー
ヒーを入れて上がってきた。「モカだよ」って。インスタントかと
思ったら、わたしが前回置きっぱなしにしていった紙のカートリッ
ジのレギュラーコーヒーを入れてくれたのだ。やさしくされるとま
た涙出ちゃうよ。

酔払っていて前後関係が定かではないのだが、確かその後で雪彦の
前の彼女から彼の携帯に電話が掛かってきた。彼はなるべく速やか
に切るように会話していたと思うのだか、受話器からもれてくる相
手の女の笑い声が感にさわり、電話を切り布団に戻ってきた雪彦に
背中を向けてしまった。

「よりを戻したらいいじゃん」

その後で2度目の発作を起こしかけた雪彦。ごめん。大人気なかっ
た。胸にぎゅうと抱いておさまるのを待つ。更にその後飲尿プレイ
か。今回は欲張ったね。ほとんど出歩かなかったもんね結局。食材
の買出しと、気晴らしの散歩ぐらいで。

散歩ね、おもちゃ屋につきあったの。でっかいおもちゃ屋。いつも
ひとりで自転車で行くって店に30分くらいかけて歩いて行った。
ふたりともからだのあちこち筋肉痛なんだけど、外の空気も吸わな
いとね。ゲームソフトやプラモデル、フィギュアなんかを2時間く
らい見ていた雪彦。さすがに飽きてきたわたし。「修行です修行」
だってさ。帰りは地下鉄を使った。その後飲みに行った。そして飲
みすぎた。

前の日は雨だったな。「お皿が欲しい」と言うの。ふちが欠けて皿
がないから、と。少し歩いたところにある商店街に100円ショッ
プを見つけたからそこで選ぶと言う。透明なビニール傘をさして歩
いて行った。晩はシチューを作る予定だったから、その材料も買っ
た。ビールも買った。お皿を見てたら「月子さんマグカップ要るで
しょ」と言うのでひとつ選んだ。いつも雪彦のを勝手に使ってたの
で。荷物、増えちゃった。注意してたんだけどな。痕跡残さないよ
うに。枕のあたりから、もう、だめだ。彼の用心も緩んでいる。

ここで「新婚」発言が出た。食器を選ぶなんて新婚さんか、と。

わたしは「同棲カップル」と言ったが、結局「息子の下宿先を訪ね
て来た母親」ということで落ち着いてしまった。(落ち着くな)

古い商店街をぶらぶら歩くのは楽しかった。アーケードの途中にい
きなり小学校があり通学路も兼ねている。向かいは何故か仏壇屋。
お決まりの小さな文具店、古本屋、銭湯、八百屋、お菓子屋、洋品
店、喫茶店、スーパーマーケット、私鉄の小さな駅。この駅は雪彦
も知らなかったと言う。今度友達を呼ぶ時はここを教えると、下見
をした。小さいけど収穫あったね。

派手な観光地より地味な商店街。これはわたしの理想の旅です。

わんわんが布団から声を掛けてきました。「仕事してるの?」と。
うん、まあいろいろ。「手紙書いてるの?」そうだよ「誰に書いて
るの?」不特定多数の人にだよ。

眠ったようです。静かになりました。

雪彦のことを気の済むまで書く。それまではムーしゃんとも連絡取
らない。わたしの動機はいつでも男。仕事の事を横目でちらっと見
るように考えてみる。うん、大丈夫。何とかなる。何とかやれる。

雪彦の尖った舌先の動きと、切ない表情の事を思い浮かべながら眠
ろう。もうしばらく溺れていよう。どんなに恋にのみ生きようとし
たって自分の力で立ち上がらなきゃならない時は来るのだから。

それこそ首絞めて殺してもらわない事には。

死ぬにゃあ早いぜ。

月子